第二章
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「他の色はないね」
「そうだね」
「トガは全部白でね」
「他の色はないね」
「だから誰が着てもだね」
「一緒だからね」
それでというのだ。
「お客さんはぱっと見て誰がカエサルか誰がスッラかわかりにくいよ」
「そうなるね」
「演じる僕達はわかっていてもね」
「お客さんはわからないね」
「そうだよ、舞台を観る人達はね」
「確かにそれは問題だね」
フランコも言う。
「誰が誰かわからないんだと」
「同じ色のトガや鎧ばかりだと」
「そこをどうするかだね」
「将軍が軍を率いれば緋色のマントを羽織るけれどね」
「けれど将軍が誰もがだね」
「うん、緋色のマントだね」
「やっぱりわかりにくいよ」
どうしてもという言葉だった。
「それが問題なんだよ」
「全部同じ色だから」
「そう、どうしようかな」
「ううん、当時の服はね」
フランコも言うのだった。
「染色技術とかね」
「どうしても未熟だからね」
現代と比べてだ。
「そうなるよね」
「確かにね」
「だから悩んでいるんだよ」
「登場人物をだね」
「お客さんに見分けて欲しいから」
「誰がどのキャラでね」
「何をするかわかっていないと」
到底というのだ。
「面白くないからね」
「その通りだね」
「本当にどうしようか」
ジュリアスの悩みはそのまま続いていくかと思われた、だが。
ふとだ、ここでだった。
彼ははっと思いついた顔になってだ。フランコに言った。
「いや、ここはね」
「ここは?」
「発想を変えようかな」
こうフランコに言うのだった。
「いっそのことね」
「いっそのことって?」
「だから色が全部同じで困っているのなら」
それならというのだ。
「もうあえて色を付けよう」
「それぞれの衣装に」
「そうしよう」
こう言うのだった。
「カエサルは赤、オクタヴィアヌスは青とかね」
「そうした色になんだ」
「しよう」
こう言うのだった。
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