5.姉ちゃんは年上
[4/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
神社で出くわした意味不明なことをのたまう元気な人』とは言えないし、とっさのウソとしては上々だったのではないか……と自画自賛したことは秘密だ。
「でも先輩知ってます? みんな最近、あの人の話題でもちきりですよ? 特に男子」
ほっほーう。そうかね。
「“なんであんなキレイな人と橋立が知り合いなんだー”とか“おれもあの人と仲良くしたい……”とか」
まぁ比叡さん、外見はホントに美人だからね。そう思うのも不思議じゃない。ちょっと誇らしいぞ。ハッハッハッ。
「んじゃ、別に付き合ってるとかそういうワケじゃないんですか?」
バカなッ。年齢は聞いたこと無いから分からないけど、比叡さんはどう考えても年上だ。秦野にこんな話をするのも何だけど、僕が好きなのは年下だぞ年下。
「へぇ〜……そうなんだ……へぇ〜」
そう。姉みたいなもんだ比叡さんは。この前あのピッチャー野郎にヤキモチを焼いたのも、姉をあんな奴に渡したくないという家族愛みたいなもんなんだよきっと。うん」
「先輩、声に出てます」
「うおッ?! マジで?!」
知らないうちに心の声が漏れてしまっていたらしい。恐ろしく恥ずかしいセリフを秦野にきかせてしまった気がする……
「先輩、とりあえずガムでも噛んで落ち着いてくださいよ」
秦野がそういって僕にクールミントのガムを一枚くれた。僕がこのガム好きなのよく知ってるね。
「私もクールミントが一番好きですから」
会場についたら一度控室に入り荷物を置いた後、会場の好きなところで昼食だ。僕は外の階段で比叡さんの気合弁当を開けた。気持ちを集中させたかったから、今日は一人で弁当を食べる。
弁当の包を開けると、中には一枚の紙切れを折ったものと、いつものお弁当箱。お弁当箱の蓋を開けると、真っ白なご飯の上には細切りの海苔で書かれた『気合』の文字。そしておかずのすみっこには、僕が大好きな比叡さんの卵焼きが入っていた。よし。
お弁当の中身を確認した後、折られた紙切れを開いた。そこには、比叡さんが書いたのだろうか……『気合! 入れて!! がんばろう!!!』の文字と、ヘタクソな比叡さんの似顔絵が描いてあった。
「プッ……ヘタクソだなぁ比叡さん」
ヘタクソだけどその似顔絵には、なんだか比叡さんのあのお日様のような笑顔が重なって見えた。『気合! 入れて!! がんばろう!!!』という比叡さんの元気な声が聞こえた気がした。
「ありがとう、比叡さん……気合、入れて、いただきます」
気合弁当を食べて比叡さんの気合のおすそ分けが終わった後は、楽器を搬出してリハ。そしてそれが終わって今、舞台裏に移動してきている。僕達の前の学校の演奏が今まさに行われている最中だ。この学校は去年も金賞を獲っていたのを僕はよく
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ