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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第十二話(中) 王国の終焉
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ケモンと互角に戦えるほどの力を持つとても強いポケモンさ」

 レッドはその言葉に強く反応する。やはりあの胸騒ぎや氷の抜け道で見た夢は正しかったのだ。

「ワタルさん。俺、行きます!」
「は……はぁ!? 何を言っているんだ! やめときなよこれはただの砂嵐じゃない! 安易に近づいたら大変なことになるよ!」

 ワタルは必死にレッドを止める。

「恐らくですが……今あの場にいるバンギラスは俺の……いや俺たちにとって決着をつけなくてはいけない相手なんです」
「ど……どういう事だい?」

 レッドは簡潔にシロガネ山で起こった二度にわたるバンギラスとの戦いについて話す。

「なるほど……。わかったそういうことなら行ってくるといい。あと、これを渡そう」

 ワタルはレッドに防塵マスクを手渡す。

「ありがとうございます。これ……マスクですか?」
「一応工事現場だとか地下用の防塵マスクだ。僕も一応いろいろなところに行く機会があるからね。常にこういう道具はもっているんだ……。気休め程度にはなる。でも目を護る道具がないけど大丈夫なのかい?」

 ワタルはレッドを心配する。
 レッドもそれについて突っ込まれると少々不安になったが、リュックの奥底に眠っているゴーグルの存在を思い出した。
 レッドはゴーゴーゴーゴーグルを見つけ出し、装着する。

「ほほぅ……よく持ってたねぇ」
「初めてバンギラスと戦ったとき、親切な人がいて……、何も知らなかった俺にいろいろと教えてくれた後にこれを置いて行ってくれたんです」
「それじゃあその人に感謝しなくちゃね……おや、ちょっと待って」

 ワタルは後ろに周りこんで留める部分に描かれている紋章を見る。

「これ、デボン製か……。たぶんその人、ホウエン地方の人だろうね。あそこは砂漠地帯があるっていうし」
「へぇ。そうですか……またいつか会った時にお礼がしたいです。さてと、俺はそろそろ」

 レッドは防護マスクを装着した。

「うん。気を付けておいで。恐らく、今このポケモンを倒せるのは君しかいない。健闘を祈る」

 ワタルの激励を受けて、回復させた後にレッドは砂漠となりつつある地帯に足を踏み入れる。

―午後5時頃 エンジュシティ 市街―

 レッドはとにかく見えないなら音に頼ってバンギラスの位置を割り出そうとした。
 心なしか、バンギラスの方から自分の方へ寄ってきている気がするためレッドはその方向へ歩みを進める。
 バンギラスが動くたびに家屋のつぶれる音が聞こえてくる。

「くっ……」

 砂地は平地よりも歩くのに体力を消耗する。朝から歩きづめのレッドにとって如何に強靭な体を持つ彼といえども一人砂漠の中歩くのは相当に堪えた。
 レッドは修行していた頃を思い出
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