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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第十二話(中) 王国の終焉
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れたせいか、ポロポロと紅涙が溢れる。
「ずっとこらえてきたんだもんな……よしよし。絶対にお前を放さないからな」
レッドは自らの胸にエリカをより近づけそっと肩を抱く。
「はい……貴方」
先ほどまでとはまるでちがう暖かな雰囲気が二人の周りを包んでいた。
―午後4時10分 少し離れた場所―
指揮するのも忘れて一部始終を目撃していたミカンは顔が紅潮していた。
オーキドが拳銃を出していた頃は止めに行く勇気がでなかったのだ。
「いいな……エリカさん……」
ぽつりとでたその一言でミカンはレッドに恋心を抱いていることを自覚した。
何を隠そうミカンがジムリーダーになろうと決意した原因はレッドにあるのだ。そこからずっとある種の憧れこそ持っていたがそれはあくまで遠くの存在だからこその憧れであり、近いところで恋人たるエリカを懸命に守るレッドを見て恋情が憧憬を上回ったのである。
これ以後、ミカンはまともな指示が下せなくなり、鋼ポケモンたちは暴走しはじめる。ヤナギから冷徹な精神を学んだミカンであったが15歳の少女にそれを徹底させるのは不可能だったのだ。
―午後4時30分 37番道路 野戦病院―
エリカを野戦病院に送り届けた後、エンジュシティの方角からレッドにとって聞き覚えのある咆哮が聞こえる。
異様な胸騒ぎを覚えたレッドはすぐさま羅城門をくぐりぬける。すると、目の前にはとんでもない風景が広がっていた。
―午後4時35分 エンジュシティ―
くぐりぬけると、そこは大砂嵐が起こっていた。
10m先は何も見えないほどの砂嵐である。そうこうしているうちにワタルが再びカイリューに乗ってやってきた。
「やーレッド君! 大変なことが起きているんだよ!」
「それはこの状況をみればなんとなくは……」
砂嵐はごうごうと音を立てている。
「原因は分かっているんですか?」
「さっきの咆哮は君も聞こえただろう? 僕も知っているポケモンの鳴き声だったからおそらくポケモンの技……それもこのような強力なレベルということを考えたら恐らくロケット団のうみだした改造ポケモンとやらの仕業だよ。全くなんとむごいことを……」
ワタルは相当に憤慨しているのか時々地を蹴っている。
「あの他の人たちは?」
「この調子じゃ敵も味方もまともに戦えない。とりあえず近くのゲートまで逃げ込むように指示したよ」
「そうですか……」
レッドは少し黙したのちに思い切ってワタルに尋ねる。
「ところでさっき知ってるポケモンと言っていましたが……何のポケモンか教えてくれますか?」
「レッド君もシロガネ山にいたなら一度か二度くらいは聞いたことあるんじゃないかな……。バンギラスだよ。僕のもつドラゴンポ
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