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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第十二話(中) 王国の終焉
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、彼女は一向にはがれようとしない。

「エリカ、分かってくれ。これしかないんだ」

 レッドは足りない頭をフル回転させて自分の腹案を如何にオーキドに悟られないようにエリカへ伝えるか考え、目を合わせつつ口に出す。
 彼女はその言葉をきちんと受け取れたのかそれとも完全に諦めたのか、すっと力を抜きレッドは落ちないように向き直ってエリカをお姫様だっこの要領で抱きかかえる。
 エリカの表情はどうにも読めない無表情になっていた。

「さあ」

 オーキドは両手を差し出す。
 レッドはオーキドの方向を向いて彼女を引き渡す為に手を伸ばす。
 エリカはオーキドの手に渡った。その瞬間石畳とオーキドの靴が見える。
 レッドはすかさずその隙を狙って思い切りオーキドの靴を踏みつけた。

「うっ!!」

 オーキドはたまらずエリカと拳銃を落としてしまった。

「レ……レッド貴様はか……」

 レッドはすぐにそれらを奪取し、オーキドの頭を狙って三回発砲。まったくの初めてな為二発は外したが、最後の一発は見事に命中。オーキドはそのまま倒れる。

「クッ……愚かなマネをしおって……ワシが倒れても……エンジュと……全国……リーグの崩壊はとめられ……ぬわ……ホッホッ……ホッ……」

 いまだにうわ言じみたことを話す博士が惨めに思ったのか、レッドはとどめの一発を心臓に放つ。
 やがて、オーキドは息を引き取った。
 四発の銃声を聞きつけ、ワタルがカイリューに乗って前線からとんでやってきた。

「レ……レッド君。これは……」

 降りてワタルは呆然とした表情でオーキドの遺体を見る。

「俺がやりました。警察に連れて行くなりなんなりしてください」
「いや……いいよ。よくやってくれた。そのあたりは職務行為扱いでなんとか僕がとりなす。それより、エリカ君をはやく連れて行きなさい」
「この死体……どうするんです?」
「すぐにでも片づけたいところだけど……。そんな暇はない。衛生兵がつれていくだろう」

 そう言ってワタルはそそくさと再びカイリューに乗って前線に戻った。

「ふう……。どうにか片づけたか」
「あなたぁ……」

 エリカは珍しく気弱そうな声で言う。
 オーキドから奪取したとき、エリカはレッドに抱きかかえられたような状態になっている。

「わたくし、最初は本当に見捨てられたのかと思いましたのよ?」

 エリカはレッドの目をみつめながら言う。

「バカ言うな! 誰があんな外道に大事なエリカを渡せるかよ!」
「ええ。貴方にこれしかないんだって言われた時、もしやと思って貴方に従いましたらオーキドを見事に抹殺してくれましたもの。私、あなたと一緒になれて良かったと……心から……あら?」

 エリカは緊張の糸が切
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