第三章
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「しないの」
「陸上だけなんだ」
「そうなの、こうして走るのが好きだから」
「毎朝走ってるんだ」
「この時間にね」
こう笑ってだ、グレッグに答えた。
「そうしてるの」
「スクールに行く前に」
「毎朝ね」
「そうなんだ」
「気持ちいいわよ、朝から走ってね」
そして、というのだ。
「シャワー浴びて登校するのは」
「夕方や夜に走るよりも」
「それよりもいいかもね」
「そうなんだ」
「グレッグもどう?」
ロザニアは微笑んでだ、グレッグに顔を向けてこの時間に走ることを勧めた。
「そうしたら?」
「そうだね、考えておくよ」
ロザニアの提案に口ではこう答えた、だが彼の考えはおおよそ決まっていた。そしてそのうえでだった。
ロザニアに走る速さだけでなくコースも合わせてだ、その後で。
ロザニアの家の最寄りの交差点で別れた、その時に挨拶もした。
「じゃあ学校でね」
「うん、またね」
笑顔で、爽やかに手を振り合って別れた。スポーツをしていた時らしく爽やかで屈託のない別れだった。その別れの後で。
家に戻って整理体操をしてからだ、シャワーも浴びて。
グレッグは母にだ、こう言った。
「僕決めたよ」
「何を?」
「これから朝に走るよ」
シャワーを浴び終えた後の明るいすっきりした顔での言葉だった。
「そうするよ」
「あら、そうなの」
「早起きしてね」
「ふうん、どうやら」
我が子の明るい顔を見つつだ、母は言った。
「いいことがあったみたいね」
「そう思う?」
「顔に出てるわよ」
これが母の返事だった。
「にこにことしてるから」
「そうなんだ」
「今日の早起きはいいことを招いたみたいね」
「そうみたいだね、じゃあ明日からね」
「自分で起きなさいよ」
グレッグの決意に対するメリーの注文はこれだけだった。
「いいわね」
「うん、目覚ましもそうセットするよ」
「それならいいわ」
こうしてだった、グレッグは次の日から朝に走ることにした。ロザニアと一緒に走って話をしてシャワーを浴びてから登校する。最高の朝だった。勿論ロザニアとの関係は友人同士からさらに一歩いや何歩も発展した。
そしてだ、ある朝メリーに満面の笑顔で言った。シャワーを浴びた後で。
「毎朝楽しいよ」
「本当にそうみたいね」
「あの時たまたま早く起きてからね」
「日本の諺であるわよ」
メリーはグレッグに朝食のベーコンエッグとサラダを出しつつ言った、トーストはもうある。見れば父と弟の分もある、
「早起きは三文の得ってね」
「早く起きればそれだけいいことがある」
「あんたにとってもそうだったみたいだね」
「うん、そう思うよ」
そのサラダにフォークを入れながらの言葉だった、爽やかで最高の朝の中で
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