第二章
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「それでなんだよ」
「今走ってるのね」
「そうなんだよ」
「そうなのね、実は私もね」
「走ってるんだな」
「毎朝ね」
今の様にというのだ。
「走ってるのよ」
「クラブでも毎日走ってるだろ」
ロザニアはハイスクールの長距離の選手だ、それでこう言ったのだ。
「それでもか」
「ええ、走れば走るだけで」
「トレーニングになるからか」
「それでなのよ」
だからこそというのだ。
「こうしてね」
「走ってるのか」
「そうなの。グレッグはどうして走ってるの?」
「ダイエットだよ」
それでだとだ、彼は答えた。
「だからな」
「太ってないじゃない」
「太っていないうちにだよ」
そう思ってのことともだ、グレッグは話した。
「走ってるんだよ」
「そうなの」
「太ると」
アメリカ人に多い肥満の話だった。
「何かと厄介だから」
「そうそう、うちもお父さんが太ってて」
「そうなんだ」
「色々と大変なのよ」
「どれ位なんだい?」
グレッグはロザニアのペースに合わせて彼女の隣を走りながらそのうえで彼女の父について尋ねた。
「太ってるって」
「百キロ超えたわ」
「背は?」
「一七九よ」
「じゃあまだね」
「ええ、太っていてもね」
アメリカの基準ではだ。
「そこまでいかないから」
「だからだね」
「極端に困ってはいないけれど」
「それでも百キロ超えてると」
「脂肪率も高いし」
だからというのだ。
「家族も気をつけてるしね」
「食べものとかで」
「お父さんもダイエットはじめてるわ」
「お父さんも頑張ってるんだ」
「毎日プールで泳いでるわ」
水泳をしてダイエットに励んでいるというのだ、要するに。
「そうしてるわ」
「水泳いいらしいね」
「いいわよ、だって身体全体を使って他のスポーツより身体も痛めないから」
「お水の中で身体動かすからね」
「だからいいのよ」
「ダイエットにも」
「そう、長く続けるにはもってこいよ」
それこそ、というのだ。
「走るよりいいかもね」
「じゃあロザニアも?」
ここで半ば無意識にこう言ったグレッグだった。
「水泳は」
「私が?」
「してるとか」
言いながらだ、グレッグはロザニアの水着姿を頭の中で想像した。ハイスクールの男子生徒では普通にあることだ。
「そうなの?」
「私は水泳はね」
グレッグのその問いにだ、ロザニアはすぐに答えた。首にかけてあるタオルで額を流れる汗を拭きながら。
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