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三十五歳独身が
第二章

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「実際にね」
「本当に相手いないの?」
「あんたお金もあるし」
 貯金もあるのだ。
「それにその顔とスタイル、声だとね」
「会社で誰か声かけてこない?」
「独身で」
「いたらこんなこと言ってないわよ」
 これが返事だった。
「そうでしょ」
「そういうことなのね」
「いないからここまできた」
「三十五歳独身になったのね」
「仕事仕事でやってたら」
 会社の中でもだ。
「誰も声かけてこなかったのよ」
「入社の時から」
「そうだったのね」
「男の子の同期も皆結婚して先輩もね」
 そちらもだった。
「皆だから」
「冗談抜きで相手いない」
「そうなのね」
「苦境になった」
「そうした状況ね」
「お見合いしようかしら」
 祐加奈は自分からこうしたことも言った。
「実家に頼んで」
「いいんじゃない?それも」
「だからあんただったら普通に出来るから」
 祐加奈のその顔とスタイルを見ての言葉だ。
「もう誰かいるでしょ」
「あんたは大丈夫よ」
「職場じゃ相手いなくても」
「お見合いでもすればね」
 それこそというのだ。120
「一発でね」
「相手見付かるわよ」
「仕事も出来るんだし」
「尚且つ家事も出来るでしょ」
「独身生活長いからね」
 家事についてもだ、祐加奈は憮然として答えた。
「そっちもね」
「お掃除にお洗濯」
「お料理もね」
「毎日インスタントとかコンビニ弁当とか冷凍諸君だと」
 また言った祐加奈だった。
「身体に悪いから」
「そうよね」
「それで家事も出来るし」
「言うことなしなのに」
「ついつい仕事ばかりになって」
「これまではね」
 そして、なのだった。
「三十五歳になって」
「遂にまずくなった」
「年齢的にも」
「そうした状況よ」
 まさに、と言う祐加奈だった。
「背水の陣よ」
「そんな心境よね」
「その気持ちわかるわ」
「三十五歳になれば」
「それこそよね」
 それで独身ならばだ、友人達も祐加奈の今の気持ちはわかった。同じ年代であるだけにそれは余計にだ。
「早く結婚したい」
「それが本音よね」
「偽らず」
「そうなのね」
「結婚相談所に行こうかしら」
 祐加奈は腕を組み考える顔になってこうも言った。
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