第五章
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「決してです、ですが」
「お互いに顔を見合わせるとか」
「はい、そうです」
「そういうものだ、女というのはな」
「変わるのですか」
「人には嫉妬、独占欲、競争心といった感情がある」
その中にというのだ。
「そしてそういった感情はだ」
「妻になればですか」
「さらに高まる、ましてな」
「妻が何人ともなれば」
「余計に高まりだ」
そして、というのだ。
「御前の家の様になる」
「今家は大変です」
三人の妻達がお互いにいがみ合ってである。
「私には穏やかなままなのですが」
「そうだな、それで子供も作るな」
「そのつもりです」
それは、というのだ。アマムは祖父に当然といった口調で答えた。
「最初から考えています」
「いいことだ、だが」
「それはそれで、ですか」
「どの妻にどういった子が生まれるかでだ」
「それで、ですか」
「いがみ合いが起こる。だが子供達は仲違いさせない様にしろ」
「それだけは、ですな」
「それこそ騒動になる」
お家騒動というものだ、こうした騒動はどの国にもある。
「これが一番厄介だ」
「ですね、子供同士が対立すれば」
「子供はいるべきだ」
カシムはこのことは絶対だと言った。
「アッラーが仰る様にな」
「はい、そのことは」
「いるべきだ、しかしだ」
「問題はそのl子供達がですね」
「いがみ合わない様にすべきだ」
「母親達がそうであっても」
「子供達はそうでない様にしろ」
そこは絶対にというのだ。
「わかったな」
「わかりました、ただ」
「ただ、だな」
「問題は妻達ですね」
アマムは困り果てた顔で言った。
「さもないと子供達が仲違いしない様にしても」
「母親が子供に吹き込むとな」
何かとだ、他の妻の子達と遊ぶなだの悪口を言うとかだ。
「厄介だな」
「それが心配です」
「だからだ、御前が家ですべきことはだ」
「妻達の仲の悪さをですか」
「解消していくことだ」
「それが大事ですか」
「コーランに書かれているな」
ここでもコーランだった、やはりイスラム社会ではコーランは絶対だ。イスラムの聖典であるのだからこのことは当然のことだ。
「妻達は公平に愛するべきだとな」
「公平に愛しているつもりですが」
「しかしだ」
「それはあくまで、ですか」
「つもりだ」
アマムの主観では、というのだ。
「それだけなのだ」
「そうなのですか」
「そうだ、、そしてだ」
さらに言うカシムだった。
「それがそのまま出てだ」
「私の妻達は仲が悪いのですか」
「そうだ、何度も妻達を集めてだ」
そして、というのだ。
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