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大地はそこに
2部分:第二章
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第二章

「村というよりは集落と言っていいかも知れませんが」
「集落、ですか」
「そういった場所ですか」
「そこになのですか」
「はい、そこです」
 また話すガイドさんだった。
「そこに行きます」
「オーストラリアに集落?」
「というと?」
「どういった場所ですか?」
「そこは」
「行けばわかりますよ」
 そこがどういった場所かはだ。ガイドさんは話さなかった。 
 しかしだ。それでもだ。ガイドさんは夫婦にこうも話した。
「オーストラリアがどういった国かもそれで」
「わかりますか」
「そこに行けばですか」
「はい、そこに行けばです」
 ガイドさんは今はこう言うだけだった。そしてだ。
 あらためてだ。夫婦にどうするかを尋ねた。
「では。そこに行かれますか?」
「その集落にですか」
「そこにですか」
「はい、若し行かれないのなら」
 その場合はどうするかもだ。それを話すのだった。
「この街を案内させてもらいますが」
「このシドニーをですか」
「そこをですか」
「はい、そうさせてもらいます」
 ガイドさんはその場合はそうするとだ。二人に説明する。
「どうされますか、それでは」
「そうですね。それでは」
「ここは」
 夫婦は顔を見合わせてだ。そのうえで相談してだ。
 そしてだ。二人の出した答えはだ。
 その集落に行くことにした。二人の決断はそれであった。こうして彼等はガイドさんの運転するその車に乗ってだ。シドニーから離れたその集落に向かうのだった。
 シドニーを出るとだ。赤い荒野がそこにあった。そこは。
「まあ中央までは行かないですから」
「エアーズロック」
「そこまでなんですか」
「はい、そこまでは行きません」
 そこではないとだ。中古の黒い日本車を運転しながら進む。
「シドニーからは近いです」
「車で行ける位の場所ですか」
「そこがなんですね」
「まあ全速力で向かってますしすぐです」
 アスファルトの道をだ。実際にかなりのスピードで進んでいる。
「そこに行けばわかりますから」
「オーストラリアがですか」
「この国がですか」
「はい、わかります」
 このことは話すのだった。オーストラリアがわかるということがだ。
「この国のことはです。この国はですね」
「オーストラリアは」
「どういった国か、ですか」
「シドニーとか海とか」
 まず話すのはこの二つのことだった。
「それにカンガルーや羊ですね」
「よく聞きます」
「それで有名ですから」
「それも確かにオーストラリアなんですよ」
 右ハンドルのその日本車を運転しながらの言葉である。
「けれど。他にもですね」
「あるんですね」
「オーストラリアが」
「昔からのこの国ですね」
 あるのはだ
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