1部分:第一章
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第一章
大地はそこに
二人はオーストラリアに着いた。そこは。
「お洒落な街だよね」
「そうよね」
まずはシドニーの街を見てこう話すのだった。そこは近代的な街であった。流石にオーストラリア第一の都市と言われるだけはあった。
「食べ物のお店も多いし」
「観光客用のお店も多いし」
「いい感じだね」
「ええ、本当にね」
こう二人で話すのだった。二人は日本から来た初老の夫婦だ。この国には観光旅行で来たのだ。見れば彼等のその周りにもだった。
同じ様な感じのアジア系の人間が多い。彼等もまた。
「日本人多いね」
「そうね。話には聞いていたけれど」
日本人の観光客達だった。彼等だけではないのだ。
「こんなに多いと何か」
「日本語も通じそうだし」
「日本にいるのと何か」
「変わらないかしら」
こんなことも考えた。そしてその予想は。
見事に当たった。何とだ。
彼等に対してだ。日本語で声がかかったのだ。
「ねえそこのお二人さん」
「あれっ、日本語だね」
「しかも流暢な」
「ガイドさん欲しくないかい?」
声の方を見ればだ。黒い髪に高い鼻の白人の男がいた。彼が明るい顔で二人に声をかけてきているのだ。
「安くしとくよ。どう?」
「ガイドさんかあ」
「そういえばいなかったわね」
二人もそのことにだ。今更ながら気付くのだった。
「二人だけで来たし」
「そうした人は」
「それはいけません」
ガイドさんは気さくに笑ってこう夫婦にまた言った。
「現地にはです。ちゃんとです」
「ガイドさんが必要なんだね」
「そうなのね」
「そうです。お安くしておきますよ」
何処か胡散臭い感じで言うガイドさんだった。
「どうされますか、それでは」
「どれ位?それで」
「どれだけかしら」
二人はその雇う費用を尋ねた。すると確かに安かった。しかもちゃんとそうした仕事の許可証、日本語訳まで見せてもらってだ。そのガイドさんを雇うことにしたのだった。
ガイドさんはだ。二人と契約を交えさせてからだ。早速こんなことを話すのであった。
「実はですね」
「実は?」
「といいますと?」
「シドニーよりもですね」
彼等がいるその街自体のことを話すのだった。
「オーストラリアにはオーストラリアらしい場所がありますよ」
「オーストラリアらしい」
「そうした場所がですか」
「街を離れますか?」
こう夫婦に提案もするのだった。
「どうされますか?」
「というとあれですか」
「オーストラリアの自然にですか」
「カンガルーやコアラを」
「野生動物をですか?」
「あっ、それでもないです」
オーストラリアの観光資源の一つでもある。オーストラリアにだけ
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