3.姉ちゃんは残念……?
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比叡さんがうちに居候し始めてから、一週間のうちに数回、憂鬱な朝を迎える日が出来た。
「今日の朝ごはん担当は比叡ちゃんよ〜」
母さんのこのセリフは、憂鬱な一日の始まりを意味する。その日の最初のタスクとして、僕と父さんは朝から空元気を絞り出さなければならない。
「きょ、今日は比叡ちゃんが朝ごはん担当なのか?!」
「はい!! 気合! 入れて!! 作りました!!!」
「た、楽しみだな?!! なぁシュウ?!」
「そ、そうだね父さん! ははははははは!!!」
「はははははは!!!」
比叡さんは明るく元気な人で、表情もくるくるとよく変わり、笑顔が素敵な人だけど、いくつか残念なところがあった。
「と、ところで比叡ちゃん? き、今日の朝ごはんは何かな?!」
すでにテーブルには完成した朝ごはんが並んでいるのに、父さんはそんなことを言う。そしてそれには、ワケがある。
「はい! ハムエッグとお味噌汁とご飯です!!」
「ははは! な、なるほど!! それにしても黄身が青い目玉焼きなんて斬新だなぁシュウ?!」
「そ、そうだね父さん?! エメラルドグリーンなお味噌汁だなんて僕も初めて食べるよ?!!」
そう、うちに居候し始めてまだ間もないころ、比叡さんが作る料理は、大抵おかしなことになっていた。それも、ただの失敗とは思えない失敗が多い。今日の料理でいえば、ハムエッグの目玉焼きは半熟の黄身の色が黄色ではなく鮮やかな青色になっていて、味噌汁の色は某スタンドのようなエメラルドグリーンだった。よく見たらスジが浮いていて、脈動しているように見えた。
「よして下さい照れちゃいますよぉ……もじもじ」
僕達の言葉を受けて、いつも比叡さんはもじもじと恥ずかしそうに身体をよじる。どうも僕達の社交辞令を真に受けているようだ。違うんだ。違うんだよ比叡さん。
「で、ではいただきまーす!!」
「どうぞお召し上がり下さい! シュウくんも食べて食べて?」
「い、いただきまーす!」
そしてやはり味も見た目通りな感じだ。目玉焼きは苦酸っぱく、味噌汁はなんだかカブトムシのカゴのような匂いが口いっぱいに広がって力づくで鼻から抜けていく……一体何を入れれば味噌汁の色が鮮やかな緑色になり、どう焼けば目玉焼きの黄身が金属色を帯びた青になるのか、逆に興味が湧いてくる。
「ち、ちなみに比叡さん?」
「ん? なーに?」
「め、目玉焼きはどんな風に焼いたの?」
「えー……それは秘密だよぉ〜……もじもじ」
気付いてくれ……その作り方はやってはいけない作り方なんだよ比叡さん。
「でも比叡ちゃんの料理っていつも斬新よね?。私も勉強になるわ?」
本気か母さん……頼むから感心してないで比叡さんを全力で止めてくれ。
「でもこうやっ
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