3.姉ちゃんは残念……?
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たかったの」
「いいのに……」
本当は断りたかったけど、比叡さんのこの笑顔を見てると、断るのが申し訳ない。
「……分かった。ありがとう。このお弁当いただきます……」
「やった! ありがとうシュウくん!! 今日帰ったら感想聞かせてね!!」
ホントの感想なんて言えるわけ無いだろうと思いつつ、僕は学校の昼食の時間に、意を決して比叡さん作のお弁当を開けてみた。
「……あれ? 意外と普通だ」
そう。最初は信じられなかったが、お弁当は普通に美味しかった。ご飯に海苔で『気合』と書いてあったのは少し恥ずかしかったけど。でもなんでこの普通の料理が朝作れないんだよ比叡さん……
「あり? なんだその気合って」
比叡さんの弁当を岸田が覗きこんできた。
「んー。ちょっとね。今日は母さんじゃなくて同居人の人が作ってくれたんだ」
「同居人ってなんだよ。つーか気合ってなんだよ変だなぁ」
この段階で、ぼくは岸田を張り倒したい気持ちをグッとこらえた。帰ったら比叡さんにそのことを褒めてもらおう。
それとあともうひとつ、ちょっとうれしかったことがあった。それは、玉子焼きを食べた時の事だった。
「……あ、玉子焼きはしょっぱい派なんだ」
前言は撤回する。比叡さんは、確かにドジで、気合が空回りする残念な女性だ。だけど、表情がくるくるとよく動いてお日様のような笑顔が素敵な女性だ。そして、玉子焼きの趣味が、僕と一緒の女性だ。
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