3.姉ちゃんは残念……?
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て作ってくれると、母さん楽だわ〜」
「ありがとうございますお母様!!」
「父さん」
「ん?」
「たとえば母さんが毎日朝ごはんを作る……そんな、なんでもない日常って、かけがえのない幸せなんだね」
「その歳で気付けただけでも、父さんはお前を親として誇りに思う。俺の子育ては……間違ってなかった……ッ!!」
「おかわりもあるからいっぱい食べてね!!」
比叡さんが朝食当番の時は、家を出た後で父さんとコンビニで合流し、男二人でパンを買って食べるのが恒例になっていた。もちろん、事前にトイレでのプライベートタイムを済ませたうえでだ。
「母さんと比叡ちゃんには内緒だからな……」
「分かってる……わかってるさ父さん……」
戦慄の朝食を終えると学校が待っている。そして学校で一日の授業が終わり部活が終わると家に帰るわけだけど、今日はなんだか腹が減って仕方がない。
「うう……腹減りすぎだ……」
家に帰れば母さんが晩御飯を作ってくれているわけだが、さすがに目が回ってくるほどの空腹は耐えられない。ぼくはハンバーガーでも食べて空腹を紛らわすために、通学路の途中にあるファストフード店『ハニービーンズ』に入った。
「気合! 入れて!! いらっしゃいませ!!!」
ん? この不必要な気合がこもった特徴的でリズミカルな声は……
「あ! シュウくん!!」
声の発生源と思しきレジカウンターに目をやると、このハニービーンズの制服に身を包んだ比叡さんが、100万ドルの笑顔でこっちに向かって手を大きくブンブンと振っていた。
「比叡さんなにやってんの?!」
「何って、バイトだよ?」
「え?! なんで?!」
「だって私、シュウくんちにお世話になってるんだよ? せめて少しだけでも、生活費を入れようと思って!!」
僕は比叡さんが待つレジカウンターに歩み寄った。うん。悪い人ではないんだこの人は。悪い人ではないんだけど……
「だから今日から私……気合! 入れて!! がんばるよ!!!」
「そ、そっか。とりあえず、注文いいかな?」
「はい!」
「え、えーと、チーズバーガーを一つ」
「ご一緒に! ポテトは!! いかがですか?!」
そのトリプルリズムに何かこだわりでもあるんですか比叡さん……?
「え、け、結構です……」
「今ならシェイクもお得だよシュウくん!!」
比叡さんはそういって僕に0円スマイルではないお日様のような笑顔を向けてくれる。この笑顔で一体何人の男性客が陥落するだろう……
「あ、いや、ちょっとおなか空いただけだから、大丈夫です」
「そっかー……しょぼーん……」
目に見えて残念そうに落ち込む比叡さん。これがもし僕にポテトとシェイクを買わせるための演技だとしたら、比叡さんは、恐るべ
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