暁 〜小説投稿サイト〜
外れない占い
第三章

[8]前話 [2]次話
「全くな」
「そういうことなら」
「よくわかるな」
「巨人は百年位最下位でいいですね」
「百年?千年だろ」
「キリスト教みたいに」
「巨人は暗黒千年王国でいいんだよ」
 その間ずっと最下位でいいというのだ。
「巨人が負けると飯が美味いだろ」
「はい、酒も」
「巨人が負けまくるとそれだけでな」
 それこそというのだ。
「いいんだよ」
「そのこともその通りですね」
「まあとにかくな」
「あまり、ですね」
「悪い結果はな」
「当たって欲しくないですね」
「本当にな」
 雄馬にこうも言うのだった。
「野球についてもな」
「全くですね」
「落合さんの任期もな」
 彼の監督のそれもというのだ。
「あれだよ、辞めた年にな」
「占ったらですか」
「その通りになったし」
「何で占ったんですか?」
「タロットだよ、ケルト十字でやったらな」
 そのシーズンの落合を占った、するとというのだ。
「最後に死神が出たよ」
「死と再生ですね」
「それでまさかと思ったらな」
「そのシーズンで、ですね」
「あのフロントの馬鹿がな」
 口を苦々しげにさせての言葉だった。
「辞めさせただろ」
「はい、それで高木が監督になりましたね」
「それで高木を占ってみたらな」
「悪かったんですね」
「戦車の逆が出たよ、他のカードも悪いものばかりだったよ」
「そっちも当たったんですね」
「外れて欲しかったよ」
 高木中日への占いもというのだ。
「それがこれだよ」
「当たる占いも嫌ですね」
「全くだ」
 こう言うのだった、今も。
 そうした話をしながらだった、そのうえでだった。
 自由は占いを続けた、彼の占いは外れなかった。当たるばかりだったがよい占いも悪い占いもそうでだ。
 悪い占いの結果が当たる度にだ、彼は雄馬に言うのだった。
「まただよ」
「またですね」
「本当にな」
 閉店したばかりの店の中でのやり取りである。閉店作業を二人でしながら。
「失恋するって出たら」
「そうなりましたね」
「彼氏の浮気か」
「恋人の逆が出たら」
「ドンピシャか」
「一瞬間に占って」
「今日泣いて来たな」
 自由は作業をしながら雄馬に苦い顔でこの日のことを話した。
「別れたって」
「それで、でしたね」
「サービスで占ったらな」
「また、でしたね」
「恋人の逆だよ」
 またこのカードが出たというのだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ