1.姉ちゃんは神社にいた
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」
「やったよ……でも運営は”ログを解析しましたがそんな事実はありません”の一点張りでさ……」
「んじゃお前がなんか操作へまったとかじゃないの?」
「そんなわけはないッ! おれが海域をクリアしたときは確かにいたんだ中破してたけど!! だけど鎮守府に戻ってきたら……なぜか空欄になってて……びぇええええええええ!!!!」
想像してみて欲しい。梅雨時で脂テッカテカの顔をしたニキビ面の思春期の男が、目を真っ赤に晴らすほど涙を流して五歳児のごとき声を上げて泣きわめく姿を。あまりのキモさに女子たちもこっち見てなんかヒソヒソ言ってるし……
「シュウ〜……お前ならわかってくれるよな? このおれの悲しみがぁあああああん」
「わかんないよ……つーか部活あるからそろそろ行く」
「この裏切り者ッ!! リア充!! 呪い殺してやるッ!! お前なんか吹奏楽部の女の子と仲良くやってりゃいいんだッ!!!」
罵倒とも羨望とも負け惜しみとも受け取れる岸田からの怒号を背後に感じながら、僕は逃げるように教室から出た。そんな風に言うなら、岸田も何か部活をやればよかったのに……『フェイトそんを愛でるのに忙しいおれに、部活などをやってる時間などないッ。キリッ』とか言ってたのは岸田自身じゃないか……
吹奏楽部では、僕はトロンボーンを担当している。本当はトランペットをやってみたかったのだが、あの小さいマウスピースで音を出すことがどうしても出来ず、失意のどん底にいた時に顧問から『ちょっと違うけど、トロンボーンでもやってみるか?』と言われ、僕の担当パートはトロンボーンになった。やってみたら意外と自分に合っていたようで、今ではパートリーダーを任されている。
今日もいつものように個人練習とパート練習をこなした後、全員で合奏練習をした。そして合奏練習のある程度の手応えを感じた後、部活が終了して、僕は家路についた。
そう。ここまではいつもどおりだった。昨日までと同じく、うっとおしい岸田の話を聞き、いつものように部活をこなし、前日のようにしとしと降る雨の中家路につく……本当に、いつもと同じ。
ただ、その後の今日は、いつもとちょっと違っていた。
僕の通学路には、途中に小さな神社がある。一軒家ほどの広さの土地の真ん中には、これまた小さな社。あとは人の背丈程度の大きさの鳥居と、子供が遊ぶためのブランコが一つだけ設置されてある、本当に小さな神社だ。社が少し古いため、周囲が暗がりだと少々不気味に見える以外は、極めて普通の小さな神社だ。
今日はその神社に、空を見上げながら立ち尽くしている一人の女性がいた。
その女性は、身体に何か大きな機械のようなものをつけていた。背中から斜め十字型にアームのようなものが伸びていて、その先端には細長い筒のようなものがつい
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