第一部
第六章 〜交州牧篇〜
八十三 〜来客〜
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活かさず、皆に同じ役割を求めればどうなる?」
「…………」
「無論、お前達を信じているからこその事だ。不服か?」
「いえ、ご主人様は私の甘さを懸念しておられるのですね?」
「自覚していたか」
「……はい。水鏡先生からも、以前指摘された事もあります」
「そうか」
「……わかりました。ご主人様がそう仰せならば、お任せ下さい」
「うむ。細々とした事は任せる、存分にその才を活かせ」
「はい!」
武田のような似非軍師は必要ないが、朱里ならばその心配はない。
それに、外交はそう容易いものではない筈だ。
朱里を成長させる上でも、無駄にはなるまい。
「医師の華佗と共に参るが良い。無論、護衛の兵も伴わせるが」
「わかりました」
「それから、睡蓮の許にいる軍師、周瑜と知己を得ておけ。何かと役に立とう」
「呉の美周嬢さん、ですか」
やはり、周瑜も女子か。
この時代、名の知れた者はほぼそうなのであろうな。
「では、後は頼むぞ」
「御意です♪」
朱里は笑顔で応える。
内心思うところはあるのであろうが、私なりに朱里を見て来たつもりだ。
後は、それにどう応えてくれるのか……見込み違いだとすれば、それは私の見る眼がなかっただけの事。
多少のしくじりがあっても、朱里に任せると言った以上、どこまでも信じてやらねば、な。
華佗と朱里が揚州に向かい、数日が過ぎた。
一度に郡太守が数人空席となってしまったが、政の空白は許される情勢ではない。
南海郡は引き続き桜花(士燮)に任せるとしても、他の郡をどうすべきか。
郡太守の任命ならば、私の権限で決められるのだが。
「問題は、誰を任じるかだな」
「はい。我が一族はほぼ、先だっての事に荷担してしまいましたから」
桜花と愛里(徐庶)、そして山吹(糜竺)を交えて協議する事となった。
だが、桜花の表情は冴えない。
「お前の人脈を以てしても、適任者は見当たらぬか」
「……申し訳ありません」
「仕方あるまい。だが、早急に定めねばなるまい」
「歳三さま。この交州には戦乱を逃れてきた人材も少なくない筈です。名のある人物を募っては如何でしょう?」
「それが、そうもいかないのですよ」
愛里が、表情を曇らせる。
「何故です?」
「歳三さんがこの地に赴任した際、文官が足りずに公募した事は覚えていますか?」
「ええ、勿論。今では、彼らの働きも大きいとか」
「はい。ですが、その時にはそういった方は見受けられませんでした。果たして、そのような人材がこの地にいるのでしょうか……?」
「それならば、やってみる価値はあると思います。少なくとも、今なら」
「今なら?」
「そうです。歳三さまが赴任してある程度の期間となりました。少なくとも、この地に住まう
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