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リリなのinボクらの太陽サーガ
消失
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ること。そんな世界にするために、一人一人が手を取り合うこと。確かに言うのは容易いが為し遂げるのは困難を極めるだろう……。だが今は出来なくても、いつかは出来る。ヒトの可能性には……そういう希望が詰まっているんだ。

「未来を信じて想いを継いでいく……それは死を乗り越えて生きる意思! そう、それこそが……“ボクらの太陽”!!」

万感の想いを込めて叫んだ瞬間、浄化が完了してラタトスクの断末魔が響き渡る。

「ヌグァァアアアアア!!! ま、まさか……かつて利用したあなたに私が浄化されるとは……! これも因果応報ですか……!」

「人形使いラタトスク……おまえとの腐れ縁もこれまでだ。二度と復活なんて企む事無く、今ここで往生するのだな!」

暗黒剣の切っ先を向けて宣言すると、エクトプラズム越しに移るラタトスクがいつもの笑い声をあげる。

「ウフフフフ……認めましょう、私の敗北を。私の計画を全て覆したあなたこそが、真の英雄である事を……」

「違う。俺は英雄じゃない、ただ人間であることを望んだだけだ」

「人間であること……ですか。確かに人間は、時に想像もできない力を生み出します。実に興味深いですね……」

「気付くのが遅いな、ラタトスク。おまえのその傲慢さが、視界を曇らしていた事にようやく思い至ったか」

なお、視界の向こうではファーヴニルも翼を折りたたみ、腕もしまって地面に沈んで行こうとしていた。徐々に小さくなっていくファーヴニルの体躯と反比例して、放出された高濃度の魔力が天へ上っていく。どうやらシャロンの月詠幻歌のおかげでついに眠らせる事が出来たらしく、吸収された魔力が多くの次元世界に解放されて、また新しい封印術式が施されたようだ。つまりミッドチルダという星が世紀末世界やニダヴェリールと同じ、絶対存在が封印された世界となる訳である。そして今度はこの世界が試される事になる……絶対存在の封印を守り、世界の未来を壊さずにいられるか……この戦いが起こってしまった過ちを忘れずにいられるか……後の時代へ生きていけるか否か、それはここで生きる人間次第だろう。

そしてコンサートを終えたシャロンが、こちらを向いて憂いのこもった微笑みを浮かべる。月下美人に昇華するまで、きっと彼女には多くの葛藤と決意があったはずだ。この勝利は彼女の慈愛の心があってこそとも言える……俺はもうすぐいなくなるが、せめて彼女の未来に幸があらんことを祈っている。

「果たして、そう上手く行きますかね……? 愚劣を極めた人間は、どのような手段も用います。それこそ、私より巧妙かつ悪質な考えも思い付く事でしょう」

「確かに人間とは愚かな生き物だ……しかし、誰かの過ちに立ち向かえるのも人間だ。俺は人間の正しくあろうとする心を信じて逝くさ」

「そうですか……あ
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