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リリなのinボクらの太陽サーガ
消失
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えるだろう。それでも……そこには確信もまた、あったのだ。あいつは必ずや復活を果たし、この俺の前に現れると。
そして白き森で……信じた通りにあいつはやって来た。俺は自らを浄化させるため、あいつに挑んだ。あいつとの戦い、それこそが俺が待ち望んでいた戦いだった。暗黒城での決着からしばらくぶりの戦い……人形使いの横やりがあったせいとはいえ、戦っている間のその時、その瞬間は俺自身の心が本当に充実していた。戦いに集中してもらうために本心は戦いが終わるまで伝えなかったが、そのおかげで俺の全てをあいつにぶつける事が出来た。そして……結局最後まで、あいつには勝てなかった。

だが決着がどうであれ、俺の心は満足していた。後は俺の暗黒物質を浄化する事で、人形使いの計画を打ち砕く事が出来る。そう思っていたのだが……俺自身が持っていた闘争心すら、ラタトスクの手の内にあった事に気付いたのは浄化が終わってからだった。意識が混濁する中、奴の思うまま俺はヴァナルガンドと同化させられ、月の楽園までやって来たジャンゴと破壊の獣として戦う事になった。絶望的な状況の中、未来を信じるあいつの心と、おてんこの太陽の力、カーミラの強い想いもあって、俺達はヴァナルガンドを石化させて封印する事が出来た。代償として俺とカーミラは永遠にヴァナルガンドと眠る事となり、おてんこはジャンゴと同じ未来を歩む事が出来なくなったが……その後に奇妙な出来事が起きた。

それが……俺が“暗黒の戦士”から“人間”へ変わり始めた瞬間だろう。運命の悪戯でこちら側の世界へやってきて、俺は多くのヒトと出会い、その心に触れた事で、いつの間にか失くしていた人間らしい心を取り戻していった。いくつもの悲劇とそれを止める戦い、想いの交差とすれ違い、物が満たされていても心が満たされておらず愛情に飢えている子供達、欲に憑りつかれて取り返しのつかない過ちを招く存在。世紀末世界が銀河意思の影響で滅びかけているように、この世界にもこの世界なりの歪みがあった。だから俺は一度見失った本当の強さを探しながら、俺の思う通りに行動した。その結果、意図するしない関わらず、救われた者がたくさん現れた。そして、そいつらは俺の心を受け止め、各々の精神に継承してくれた……つまり“命”を繋いでくれた訳だ。

ヒトが伝えられるモノは遺伝子や血筋だけじゃない……信じるもの、俺達が信じたもの、大切だと思えることだ。正しいかどうかではない、正しいと信じるその想いこそが未来を創る。俺が伝えたい事は、全て彼女達が受け継いでくれた。一人一人受け継いだ想いは多少異なるが、だからこそそれが一つとなるのは即ち、世界が一つとなるのと同義でもある。銀河意思ダークに対抗するためにも、世界は一つとなるべきだ。しかし間違った方法で一つになっても意味が無い……ありのままの世界を受け入れ、そして愛す
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