消失
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当たりそうだからな。
昼は過ぎているものの、太陽の光は十分強い。これなら浄化に十分な威力を保てるだろう。機械的な起動音が鳴り響く中、南の方にある一ヵ所の魔方陣の中心に立った俺は、天に向けて手を掲げる。あぁ、太陽と叫ばないのは俺の体質的に意味が無いからで、出来ればあまりツッコまないで欲しい。
パイルドライブ開始!
増幅した太陽の光が棺桶の中に照射され、ラタトスクの呻き声が聞こえる。そして俺の身体も強すぎる太陽の光に焼かれて黒煙を上げているが、今だけは耐えるしかない。異次元空間から飛んでくる無数のソードを弾き返し、ジェネレーターに憑りついたエクトプラズムを棺桶に押し返して浄化を促進させる。基本的にパイルドライブはこういう作業を繰り返す訳だから、正直に言えば見所が少ないんだよな。
一方、視界の向こうではファーヴニルが全身から淡い白色の光を発し、以前斬り落とした腕と翼が遠くから浮遊して本体と接合していった。月詠幻歌には聴いている者のダメージを回復する効果があるから、どうやらファーヴニルにもその恩恵が与えられたらしい。敵対して暴れている時だったら意味が無いが、大人しく眠りに着くための準備であるなら構わないだろう。
身体が焼けていきながらエクトプラズムを押し戻す作業を繰り返している間、俺はふと、これまでの戦いが走馬灯のように脳裏に浮かんできた。世紀末世界……死の都イストラカン。そこで俺は誘拐された後に、初めて弟のジャンゴと邂逅を果たした。家族、兄弟としてではなく敵同士、太陽の戦士に対するカウンターである暗黒の戦士としてな……。計画であいつの力を利用する事を考えた俺は、伯爵だけでなく闇のガーディアンであるムスペルとガルム、更にカーミラを犠牲にして四大属性と太陽の力を得た。本当の母もそのための犠牲にしたのだから、俺の意思はまさにダークマターの狂気のただ中にいた。だが……暗黒城での決戦で、俺は全てを犠牲にして得た力でもあいつに勝てなかった……。結果的に二人の母をも犠牲にした俺は、俺達を利用した銀河意思と、その地上代行者たる闇の一族への復讐を誓った。
だが俺が真に戦いたかったのは、奴らなどでは無かった。太陽の街サン・ミゲル、あの街でジャンゴと共に戦った時、俺はようやくその事に気付いた。あの新月の夜、破壊の獣のまどろみに引きずり込まれた俺は、ダークマターによる人形使いの支配を受けた。そして満月の夜、ヴァナルガンドの破壊の衝動に共鳴して増大した狂気に憑りつかれたまま、俺は実の弟を葬った。だが幸か不幸か、月光に横たわるアイツの姿に、俺はようやく自らを取り戻した。だがラタトスクによる支配と、ヴァナルガンドとの魂の共鳴……それらを断ち切るにはジャンゴの力で俺の身体に宿る暗黒物質を浄化する他は無かった。自らの手で葬ったあいつを待つなど、普通は狂人の沙汰とも言
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