消失
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なるだろうな」
「もう少し?」
「ん、聞こえないのか? 彼女の歌が」
そう伝えると、はやては耳を澄ませる。するとシャロンの月詠幻歌が世界中に響いている事に気付いた。彼女の美しい旋律の歌声を聞いて、はやては静かに目を閉じる。
「なんか癒される歌声やな……もしかしてこれが月詠幻歌なんか?」
「そうだ。多くの偶然と奇跡が重なって、この歌はシャロンに継承されていた。はやてはこの歌にファーヴニルを封印する力がある事を見つけたのだろう? だから……おまえの努力にも意味はあった」
「サバタ兄ちゃんには適わへんけどね、歌い手をニダヴェリールから助け出してるんやから。だからこそ生き残りは、今度は私達が絶対に守らないといけない。故郷が一度ならず二度も壊されて、その上命を狙われるって理不尽やもん」
「そうだな……俺も彼女達には最善を尽くした。後は彼女達の選択次第だろう。さて……俺もそろそろ棺桶を広場に運ぶとしよう」
「わかった。それと……これから後始末とか大変やけど、また一緒に暮らせるね」
「……」
また一緒に暮らせるという言葉に対して、俺は何も言わなかった。
一息ついて体力が少し回復した事で鎖を巻きつけて棺桶を引っ張る俺に、おぼつかない足取りではやても付いてくる。どうも拘束されていた時に関節が外れた時の痛みが再発したようで、節々が痛いらしい。一応また関節が外れた訳ではないが、はやても頑張って戦った証拠だろう。
二人で建物の外へ出ると、シェルターのある広場が先程の戦闘で瓦礫だらけになっていた。元々広さは問題なかったのだが、これだけ瓦礫が散らばっていてもパイルドライバーを召喚できるのだろうか?
「出来るよ〜♪」
「そうか、それなら頼むぞアリシア」
「オッケー! 太陽ぉー!」
急に精霊転移で現れたアリシアがパイルドライバーの魔方陣を広場に召喚する。ファーヴニルの正面でやる訳だが、今のアレはラタトスクの支配から解放され、シャロンの月詠幻歌を聞いているため比較的大人しくしている。変に刺激を与えなければ問題なく浄化できるだろう。
「あ、サバタさん!」
棺桶を中央にセットしてジェネレーターを起動している途中、こちらにやって来ていたユーリが俺に声をかけてくる。その後ろには月詠幻歌を歌っているシャロンと、彼女を守る布陣を敷いているシュテルとレヴィ、傷だらけで疲れ切った様子のマキナと、彼女を治療しているディアーチェの姿があった。それとティーダやティアナ、スバル達はマキナの事を心配そうに見つめている。とにかく彼女の協力があったから、はやては救われたのだ。これだけこの世界の人々を守るために戦ったのだから管理局も、彼女やシャロンの命を狙わなくなるはず……。もし余計な事を言う輩がいても、身分が回復す
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