消失
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。“暗黒少年”としての心構えを持っていた頃なら、はやてに構わず見殺しにしていたかもしれない。だが“人間”としての心構えを持っている今は、彼女を見捨てる選択をするわけにはいかなかった。だからこれは俺にとっての最後の選択肢……“暗黒少年”に戻るか、“人間”に戻るか、二つに一つ。
「俺は……俺は……!」
「だ、め……にいちゃ……!!」
「俺は……人間として生きた!! その証を……失ってたまるかッ!!!」
――――BANGBANGBANG! カチカチカチンッ!!
「な!? 今の銃撃は……!?」
どこからともなく発砲されたマガジン一つ分の量の銃弾が跳弾し、はやてを拘束していた鋼糸を千切った。床に放り出された彼女は解放された直後に叫ぶ!
「ゲホッゲホッ! さ、サバタ兄ちゃん、今や!!」
「ラタトスク!!! 貴様の敗因は俺を……俺達を怒らせた事だッ!!!!」
瞬時加速でラタトスクの懐に潜り込んだ俺は、暗黒剣に怒りを全て乗せて“水精刀気―鏡―”を放つ! 一太刀ごとに“震”“巽”“離”“坤”“兌”“乾”“坎”“艮”の文字が浮き出て、ラタトスクを宙へ引きずり上げる。
「馬鹿な……こんなはずでは……こんなはずではァアアアア!!!!!??」
叫び声と共に床へ叩きつけられたラタトスクは、全身から黒煙を発して元々ロキが持っていて俺が持参してきた白い棺桶に封印される。少しだけガタガタと震え、そして静かに収まった……。万感の想いを込めて、俺は深く息をついた。
「……ハァ……ハァ……、やっと……ラタトスクを封印できたか。大丈夫か、はやて?」
「う、うん……縛られてた所がまだ痛いけど、何とか生きとるよ……」
「そうか。……ふぅ、良かった」
「サバタ兄ちゃん……ごめんなさい。私、皆の足手まといになってばっかりや……」
「謝らなくていい、次に活かせれば俺は何も言わない。それにな、こういう時は謝るより先に言うべき言葉があるはずだろう?」
「……せやな。……ありがとう、サバタ兄ちゃん……!」
「ああ。それと色々思う所はあるだろうが、最後の最後でマキナに助けられた事はわかるか?」
「え?」
「見てみろ、この銃弾は50口径のデザートイーグルの物だ。俺達以外ではやてを拘束していた糸を狙い、跳弾を交えて当てられる技量があるのはマキナだけ。彼女にしか出来ない絶技だ……」
「マキナちゃんが……そんな……。あんな事があったのに私を……!」
「ま、おまえ達の間で何があったのかは知らんが……俺は早速ラタトスクを浄化しようと思う。それで、はやてはどうする?」
「もちろん一緒に行きたい。ファーヴニルとの戦いは、まだ終わってないんやから」
「ファーヴニルか……そっちはもう少しで何とか
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