消失
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がそれは、こちらとて同じ事。私の計画をことごとく邪魔し、挙句の果てにここまで追い詰めたのですから。しかし……卑怯汚いは敗者の戯言、最後に勝てば良いのですよ。ここでファーヴニルが封印されようと、この窮地を脱しさえすれば私は新しい計画の下で再びやり直せます。そう、あなたさえいなければ私は計画を続けられる! そして永久にこの世界を支配下に置き、破壊の限りを尽くす事が出来る!!」
「チッ……どこまでも腐った奴だ。そうやって全てを破壊した先に、貴様は何を見出している? 全てを失った世界に、貴様は何を求めている!?」
「知れた事……私が充足感を得られるじゃないですか。銀河意思ダークの計画なぞ私にはどうでもいい、好きな時に痛めつけ、好きな時に奪い、好きな時に殺す。そんな私を脆弱な人間どもが崇めるのです、自分がそうならない様に私の機嫌を伺って。だけど私の気まぐれでその考えを反故にし、絶望にまみれた人間どもを見下ろすのはまさに最高の快感です!」
「狂ってる……サバタ兄ちゃん、私はもういいから、こんな奴の言う事なんか―――――エグッ!!?」
「あ〜もう、人質だと言ったのにうるさい小娘ですねぇ。いっそしゃべれないように半分首を切っちゃいましょうか? それぐらいなら人間はまだ死なないでしょう? ウフフフフ……」
「ひっ!?」
「やめろ! ラタトスク!!」
静止の言葉も聞かず、ラタトスクは宙吊りにされているはやての首の糸を絞め、はやては激しく苦しみだす。急ぎ彼女を解放すべく暗黒剣を構えて鋼糸を斬ろうとゼロシフトで接近したが、ラタトスクが彼女の身体を俺から離すように動かして、その上更に強く首を絞めていた。
「ぃ…………き、が……ぁ……!!」
「アッハッハッハ!! ヒトの大事なものを傷つけるのは、やはり楽しいですねぇ!! ほら、どうしたんですかサバタさん? 早く糸を斬らないと彼女の首と身体がお別れしちゃいますよ?」
「ラタトスク……! キサマァッ!!!」
「そうです、その怒りです! あなたが怒れば怒る程、この快楽の濃度は更に向上するッ!! もっと怒れ!! もっと昂ぶれ!! その恨みを私に向けるのです!!」
ラタトスクの笑い声を聞いて、俺はあまりの怒りで身が焼け焦げそうになる。だがマグマよりも熱く激しい怒りを抱いても、迂闊に近づけば余計はやての首を絞める事になる。そのもどかしさがますます怒りを促進させ、奴の糧になるという負の連鎖が起きてしまっている。
この連鎖を断ち切るにはどうしたらいい?
見殺す?
はやてを?
馬鹿な……今の俺がそんな事をするわけがないだろう!?
ならどうすればいい……どうすれば!!
人間としての甘さを得てしまったが故の押し問答。俺が人間に戻ったせいで、この決断が鈍ってしまっている
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