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リリなのinボクらの太陽サーガ
消失
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ホールに捕らえたラタトスクが目に見えて青ざめる前で、再び周囲の空間が遅延する感覚になった俺は一切合切手加減もせず、無限に匹敵する斬撃を奴に浴びせる。ブラックホールは捕らえた相手の防御力を無くし、ダメージを倍化させるものだ。親父のような防御力が高い相手には特に有効だが、ラタトスクのように防御力がそこまで高い訳じゃない相手にもかなりの効果を望める。つまり……ダメージを倍どころか乗算させる事が出来るのだ。

「ウグァアアアアア!!!!!」

並のイモータルなら棺桶直行のダメージを受けた事で、ブラックホールが砕けた直後にラタトスクの身体があまりの威力故に壁を突き抜けて吹っ飛ぶ。粉塵に紛れて姿が見えなくなっている奴を追うべく、俺は近くのテラスの縁に手をかけて中の部屋へ飛び移った。

「………?」

内部はなんか視覚的に色彩が辛いが、それはともかく奴が穿った穴を通って進んでいくと、奴の纏う白い羽衣の羽が大量に床に散らばっているのを見つけた。そこから這いずっていくような形跡があったため、どうやらラタトスクはまだくたばっていないらしい。……妙に嫌な予感がした俺は、急いでその痕跡を辿っていき、そしてたどり着いた部屋の開いていた扉へ勢いよく駆け込む。

「ウフフフフ……お待ちしていましたよ、サバタ」

「追い詰められて気でも狂ったか? ああ、元からアレだったな、おまえは」

「その言葉は否定しませんが、一つ修正を。追い詰められたのは……私ではなく、あなたの方です」

部屋の中心で満身創痍のラタトスクが言ってくるが、余裕を崩さない様子から恐らく何か策があるのかもしれない。警戒をしながら奴の動きを注視し……気付いた、奴の手から鋼糸が隣の部屋へ伸びている事に。俺がそれを見つけたのを見てニヤリと嗜虐的な笑みを浮かべたラタトスクは、その糸の先にあるものを手繰り寄せる。それは……茶髪の少女だった。

「はやて!?」

「サ、バタにいちゃ……ウグッ!!?」

「おっと、人質は余計な事をしないでもらいましょうか。私の使う糸は人間の首なぞ、簡単に切断できるのですよ」

全身をラタトスクの赤黒い鋼糸で拘束されて身動きが取れないはやては、首に巻きつかれてある糸のせいで言葉を遮られ、そのゾッとする脅しを聞いて青ざめる。確かに奴の鋼糸なら、彼女の身体はいともたやすく輪切りにされてしまう。俺も迂闊に動いたら彼女の身が危うい。これは……かなりマズい状況だ。

「さあ、どうしますサバタ? 私を斬りますか? そうすれば私を棺桶に封印出来るでしょうが、その前にあなたが守ろうとした小娘の命は頂いていきます。しかし私を見逃すのであれば、小娘の自由を返してあげましょう」

「卑怯者め……相変わらず胸糞悪い手段だな、ラタトスク!」

「お怒りのようですね……です
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