消失
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だけ? 知らなかったの、私だけ!? 私だけか!? なぁ! 何で隠してたんや!!」
「隠してたんじゃないよ……! 皆、こんな辛い真実を、はやてに伝える勇気が出なかったんだよ……!」
「彼は……自分の意思でこうなる事を選んだわ。私達の未来を守るために全ての力を使い果たし、そして死んでいく事を受け入れていたわ!」
「そんなん今更言われても私全然知らんよ! なんでなん!? なんでサバタ兄ちゃんが死ななあかんの!? 私達のためにあれだけ頑張ったのに、もうたくさん辛い事や苦しい事を乗り越えてきたのに、何でこんな……!! あ、あぁ……うわぁああああああ!!!」
泣き叫びながら頭を抱えたはやては、フェイト達から離れるように走って近くの壁に両手を叩きつけ、膝をついた姿勢で嗚咽混じりに懺悔のような言葉を口にする。
「私……! 私、サバタ兄ちゃんに言ってもうた! また一緒に暮らせるって! ずっと一緒にいてほしいって! これからの未来の事もいっぱい! いっぱい!! サバタ兄ちゃんの気持ちも何にも知らないでさ!! なのに……サバタ兄ちゃんは笑ってた……! 最後に、ありがとうって言ってた……! 私なんて、何にも恩返ししてなかったのに……ごめんなさい……サバタ兄ちゃん……にい、ちゃぁぁん……!!」
彼女の漏らす言葉や抱いている気持ちは、何もかも全て私達も同じだ。私達は彼から大切なモノをたくさんもらったのに、それを返せている気がしなかった。彼の愛を享受していた私は、その愛を今度は彼にもあげられたのか……もう本人に聞いて確かめる事は出来ない。そして私達はこれから彼のいない世界で……生きていかなくてはならない。彼から貰ったたくさんのものを胸に、今日を生きて明日に繋いでいく。そうする事が……彼への恩返しになる。私はそう思う……。そう……思っている。
だけど……私達に降りかかる試練は、まだ終わっていなかった!
蹲るはやてのすぐ傍で、浄化したはずのラタトスクの異次元空間の穴が突然開いたのだ。そういえばさっきラタトスクは消え際に言っていた……“タダでは浄化されてやらない”って。まさかこれは……自分が消滅した後に発動するトラップ!? そして使用者であるラタトスクがもういない今、アレの制御は誰にもできない。つまり吸い込まれたら二度と出られない異次元空間へ閉じ込められる訳だ。
位置的に彼女に最も近く、尚且つ怪我や疲労も少なくてすぐ動けるのは私だけ。それなら……私が行くしかない。
急いで私は異次元空間に吸い込まれそうになったはやての手を掴み、もう一方の手でコンクリートの地面をできるだけ強く掴む。だがこれは踏ん張る力が吸収する力と比較して弱く、私達の身体は徐々に穴の中へと吸い込まれていった。だけどこの勢いなら、片方を犠牲にすれば助かる……。私か、はやて
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