暁 〜小説投稿サイト〜
剣の丘に花は咲く 
第四章 誓約の水精霊
第八話 闇からの誘い
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「だから、その」
「君は」
「ごめ――」
「そんなに僕が好きなのかああぁぁぁあ!!!」
「なさってッッキャアアアアア!!」
「モンモランシーッボカぁもおッ! ボカぁもおッ!!」
「いい加減にしろおっ!!」
「こぺぶッ!?」

 しおらしく謝ろうとしたモンモランシーに何を勘違いしたのか、ギーシュが奇声を上げながら飛びかかった。虚を突かれ悲鳴を上げたモンモランシーだったが、飛びかかって来る相手の対処方には、この数日で慣れたもので、冷静にギーシュの顎を打ち抜く。濁った悲鳴を上げ、またもや床の上を転がるギーシュ。

「もう信じられないッ! あんたなんかそこで転がっていなさいッ!!」
「ぐじぇえ……もぶ、もぶぶらんじ〜」
「じゃあねッ!」

 蠢くギーシュに一発蹴りを入れると、モンモランシーは髪を翻し扉に向かう。バタンッ! と扉が音を立てて閉まる。部屋にいる者の視線が、扉に向かって這いずるギーシュから音を立てて閉じる扉に移動し……。

「って言うか何でわたしが出て行かなきゃならないのよっ!!?」
「……自分から出て行ったんじゃない」

 冷静にキュルケが突っ込むが、モンモランシーはその自慢の金髪を獅子の鬣の如く逆立て吠え立てた。

「い、い、か、ら、出てけェエエええええッ!!」









「ねえ、ルイズ達も解除薬を飲んでいたみたいだけど、何で?」
「え」

 モンモランシーの部屋を追い出された後、士郎達はアウストリの広場に移動した。双月の光に照らされた広場にいる影は四つ。士郎、ルイズ、キュルケ、タバサの四人である。シエスタとロングビルは、明日の仕事のため、さっさと自分の部屋に戻っていった。では何故、士郎達がここにいるのかというと、

「ねえ、何で?」
「いや、だからそれは」

 部屋を出た後、キュルケがしきりにルイズ達が解除薬を飲んだ理由を尋ねてきたのだ。ロングビルとシエスタの二人は、仕事というよりも、キュルケの追求を避けるため自室に戻ったようなものだ。しかし、士郎とルイズの二人は、アウストリの広場で哀れキュルケに捕まってしまったと言うわけで。
 これは参ったな、どう誤魔化そうか? 半目になって迫ってくるキュルケから、背を反らしながら考えていると、

「もう、いいじゃない。それに、何でわたし達にじゃなくてシロウに聞いてるのよ」
「むぅ……別に、特に理由があるわけじゃ……」

 キュルケの裾を引っ張りながら、ルイズが文句を言う。ルイズの言葉に、勢いをなくしたキュルケは、何か言おうと口を開いたが、結局何も言わず閉じてしまった。窮地を脱した士郎は、感謝の念をルイズに送ると、ルイズはそれにニッコリと笑顔を返した。
 追求を断念したキュルケを確認したルイズは、うんと背を伸ばすと
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