アリアドネの糸
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アリアと呼ばれるのは嫌がりますよ」
クロスツェルさんの教会で自己暗示みたいに繰り返してたし、ロザリアさんにとっては重要な事なのだろう。
リースさんにも通じる物があるのか、そうですねとあっさり頷いた。
「駄目、だ……ベゼドラ……!」
「! ベゼドラさん?」
ロザリアさんは眠ったまま、胸元を掻き毟るようにして長衣に細かい皺を刻む。
夢に魘されてるのか? それともベゼドラさんに何かがあった?
「ロザリアさん!」
「ロザリア様!?」
リースさんと一緒になって、苦しげに脂汗を滲ませる額を押さえるが。
「そいつに……『』に、強い意識を、向け、る……なッ!」
「「!?」」
『』。
突然紡がれた言葉に私達は驚き、固まった。
ありえない響き。
怪奇現象に慣れてきた脳が、一瞬理解を拒むほどの衝撃。
前後の繋がりから、それが指すのは……まさか。
でも。
これが事実なら、さっきの現象に説明が付く。神々が勇者を立てた理由も解る。
彼らに『』は絶対殺せなかった。悪魔でも殺せない。
「強い力を持たないからこそ、力に頼らない思考を持つ」人間に、頼らざるを得なかったんだ。
アルフリードさんは勇者として、正しくも間違えてしまった!
「止め……っ ベゼドラぁあ!!」
「ロザ……ッ!」
ロザリアさんの全身から、目を焼くほど眩しい薄緑色の光が放たれる。
そして……
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