第12話 守りたいもの
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あの実験から数日が過ぎたのかな、あれからレンは度々僕の側にやってくるんだ。
「リィン、あの動きはどうやってるの?」
「ねえ、今日はパンがかび臭くないわね」
「一緒に寝ましょうよ、リィン♪」
実験中どころかそれ以外の時間帯でもレンは僕の側にいる、最初は何とも思わなかったが最近はレンがいる生活に慣れてしまった。
いや、むしろレンがいないと寂しいっていうか落ち着かないと言うか……
「僕は何を考えてるんだ……僕には帰らなきゃならない場所が、人達が待っているというのに……」
僕が攫われたあの日、逃げていくフィーの悲しそうな表情を思い出した。そうだ、僕は帰らなきゃならないんだ、だから他の事なんて考えている暇は無い。
そう思った僕は三回目の脱走を企てた、密かに入手していたヤスリで何日も前から鉄格子を削っていたんだ、そしてようやく子供一人が通れる隙間を作りそこから脱走した。
(見張りが巡回してくるまで二十分はある、その間に決める!)
奴等の行動パターンを割り出し警備の隙が生まれやすい時間帯を選んだのでスムーズに事が進んでいる、そして僕はお目当ての場所にこれた。
「よし、ここ例のダスト穴だな」
この施設で使われているゴミ捨て用の穴がある、そこは外に繋がっているとの情報を得た僕はここからの脱出を企てた。
「多少危険だけどここにいるよりはいいだろう」
これで脱出できるかもしれない、そんな期待を込めた僕は穴に入ろうとする。
「…ぃ…やめ…!」
「だ…いい…やれ…!」
……何だ?声が聞こえるぞ…女の子の声と野太い男の声か?
「いや、そんなことはどうでもいい、早く逃げないと……」
僕は再び穴に入ろうとしたが……
「やめて…もういやよ…」
「……!?ッ」
今の声はまさか…!?僕は声がする場所に向かった、するとそこにいたのは……
「……おねがい、もう許して」
「だまれ、いいから早くしろって言ってんだろ!」
何だこれは?あれはレンなのか……?
そこには裸になったレンが泣きながら体を抑えていた。体には十字架のような傷があり見てるだけで痛々しい。そして側にいる男、そいつは下半身に何も着ていなかった。
「おいおい、あまり乱暴にするとそいつ死ぬぞ」
「それがいいんじゃねえか」
側にもう一人の男がいてケラケラと笑っていた、まさかこいつら……
「早くやっちまえよ、いい加減前座だけじゃ物足りねえ」
「ああ、分かってるよ。お前はこいつを抑えていてくれないか?」
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