第五章
[8]前話
「もうな」
「やっぱりそうね」
「そうだよ、けれどな」
「お父さんを見たら」
「ああ、俺が亭主って言ったらな」
笑っての言葉だ。
「その時はなんだよ」
「皆逃げていってるわね」
「だから御前もな」
「そうしたお客さんがいたら」
「俺がいるからな」
その巨漢の父がだ。
「安心しろ、実際にそうしたお客さんは俺を見たら皆逃げてるだろ」
「確かにね」
「タパは上がそんなのだからな」
胸を隠しているだけだ、それで声をかける男もいるのだ。
「言い寄る奴も多いさ」
「それでもなのね」
「俺がいる、だからな」
「声をかけてきても」
「ああ、逃げるんだよ」
「じゃあ私もお婿さんは」
「俺より強い奴にしろよ」
「そんな人いるかしら」
父のその言葉にだ、娘は首を傾げさせて返した。
「果たして」
「いるだろ、それはな」
「じゃあそうした人をなのね」
「将来は旦那さんにしろ」
「このタパを着て?」
「タパjはお客さんも悪い虫も引き寄せるがな」
マケは明るく笑って娘に応えた。
「旦那さんも引き寄せるからな」
「そのことをなのね」
「わかっておいてくれよ」
「わかったわ、じゃあ明日もね」
「頼むな」
「デザインは好きだけれど着心地はまだ気に入らないけれど」
「そこは我慢しろ」
着心地はというのだ。
「その服のお陰でうちのお店は助かってるからな」
「そういうことね」
「ああ、じゃあもうそろそろな」
マケは笑顔のままキラに言った。
「晩飯だ」
「そうね、じゃあ今日もね」
「皆で食うぞ」
家族揃ってというのだ。
「いいな」
「それじゃあね」
「御飯出来たわよ」
絶好のタイミングでだ、家の中からテリの声がしてきた。
「お店閉めたわよね」
「ええ、今ね」
キラが母に応えた。
「終わったわ」
「じゃあ皆で食べましょう」
「待って、お部屋に戻って着替えるから」
キラは母にまずはこう返した。
「それが終わってから行くわ」
「早くしなさいよ」
「母さん、俺はすぐに行くぞ」
洋服の父はこう言った。
「じゃあキラが着替えて戻って来たらな」
「晩御飯よ」
「そうしような」
笑ってこう話してだ、そしてだった。
キラは洋服に戻って一家揃っての夕食に入った。脱いだタパは大事にタンスの中に閉まった。そうしてから両親のところに戻って楽しい一時を過ごした。
タパ 完
2015・11・28
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