第一章
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タパ
ポリネシアは周辺のメラネシア、ミクロネシアと同じく南太平洋の島々だ、チリの領土であるイースター島も近い。
しかしマライタ島、ソロモン諸島にあるこの島は別にモアイもなく至って普通の島の一つだ。
その島に住む少女キリ=カモアは母のテリにこんなことを言った。
「今日も雨が降るの?」
「そうでしょうね」
朝学校に行く時の言葉だ、テリは自分がそのまま子供になった様な褐色の肌に大きなはっきりとした黒い目、やや彫のある顔立ちと黒く縮れ気味の長い髪を持つ一六五程で発育のいいスタイルを持っている娘に言った。
「夕方位にはね」
「やっぱりそうなのね」
「そんなの当たり前でしょ」
「まあそうだけれど」
「この辺りは何処もそうよ」
南洋、熱帯の島々はというのだ。
「だからよ」
「今日も雨が降って」
「それであんたも学校よ」
「そうよね」
「じゃあ今日も行きなさい」
タロイモとバナナの料理を出しながらの言葉だ。
「学校にね」
「ええ、お父さんは?」
「まだ寝てるわ」
あっさりとした返事だった。
「お店やるのまだ先だから」
「だからなのね」
「それでわかってるわね」
「ええ、私も学校が終わったら」
「お店手伝うのよ」
家でやっているそれをというのだ。
「いいわね」
「わかってるわ、お店を手伝わないとね」
「御飯なしよ」
実に厳しい言葉だった。
「だって御飯を食べる為のお店だから」
「シビアな話ね」
「世の中はそうなのよ」
シビアだとだ、テリはまだ十分に若々しい顔を少し怒らせて言う。皺一つない顔は実際の年齢の四十yりも幾分か若く見え娘のテリと一緒にいると姉妹にさえ見える。
「食べないとよ」
「生きていけないわね」
「そう、だからね」
「今日も学校から帰ったら」
「お仕事ね」
「そういうことよ」
こうした話をしてだった、キリはそのタロイモとバナナの朝食を食べてから学校に行った。この時彼女は洋服を着ていたが。
登校してだ、キリはクラスメイト達にこう言った。
「こうして洋服を着てるとね」
「こっちの服の方がっていうのね」
「いいっていうのね」
「私的にはね」
クラスメイト達と授業の前の休み時間を利用しての雑談の中で言う。
「いいのよ」
「そうよね、デザインといいね」
「生地の感触も」
「どれもいいわよね」
「洋服の方が」
「ええ、けれどね」
それでもとだ、ぼやいて言うのだった。
「お店ではよ」
「あんたのお店ってね」
「結構色々なもの売っててね」
「観光客相手のものもあるし」
「それでなのよ」
「そう、服も売ってるから」
それでというのだ。
「私もお店で働く時はね」
「あの服着るのよね」
「
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