第十一幕その四
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「私もそうした時がありました」
「あっ、天使さんもですか」
「お休みになってる時にですか」
「ベッドの外に出て」
「飛んでおられたんですか」
「実際に」
「そうした時がありました」
こう五人に答えるのでした。
「起きた時に自分もかと思いました」
「といいますか天使さんは」
ふとです、ジョージはあることに気付いて述べました。
「どうして寝られるんですか?」
「どうしてとは」
「はい、背中に翼がありますけれど」
このことから言うのでした。
「仰向けにはなれないですね」
「その通りです、翼が邪魔になって」
「じゃあ横になってですか」
「そうして寝ます」
「やっぱりそうですか」
「それと椅子に座る時も」
その時もというのです。
「翼を左右に広げて邪魔にならない様にして座ります」
「そうですか」
「ですから椅子を並べる時は」
「あっ、横に広くですね」
「間を取っています」
「何か色々とあるんですね」
「私達の翼はそうしたものです」
こうした寝る時や座る時にも影響するものだというのです。
「そうなっています」
「成程、わかりました」
ジョージはここまで聞いて納得しました。
「それが天使さんなんですね」
「そうです」
「そうなんですね」
「いや、天井がここまで高いと」
一行の中で一番小さなトトからしますと。
「何か上を見上げていてね」
「疲れるの?」
「あまりにも見上げ過ぎてね」
ドロシーにも答えます。
「そうなるよ」
「そうなのね」
「うん、だからね」
それでというのです。
「僕には大変だよ」
「そうよね、それじゃあね」
「それじゃあ?」
「私が抱っこすればどうかしら」
トトをというのです。
「そうすれば上まで見られるわよ」
「苦労せずに」
「どうかしら」
「気持ちだけ受け取っておくよ」
これがトトの返事でした。
「それだけね」
「あら、そうなの」
「うん、これでも何とか上から見上げているから」
それでというのです。
「何とかね」
「だといいけれど」
「そういうことでね」
「トトがそう言うのならいいわ」
ドロシーもトトの言葉に頷きます。
「じゃあね」
「それでね」
「ではです」
また天使さんが言ってきました。
「今度は面白いお部屋に案内させて頂きます」
「今度のお部屋は」
「いらしてのお楽しみです」
微笑んでのお言葉でした。
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