第一部
第六章 〜交州牧篇〜
八十二 〜交州始末〜
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にもお使い下さい」
そう言って、跪いた。
「士燮。何も私に仕えずとも良いのだぞ?」
「何を仰せになります。これだけの器量を見せつけられて、貴方様に従わない理由など何処にありましょう?」
「わかった、好きに致せ」
「ありがとうございます。我が真名は桜花、土方様にお預け致します」
「では桜花、改めて宜しく頼む。私は真名がない故、好きに呼ぶと良い」
「……はい。では歳さまと」
「……は?」
「あのー、お兄さんをそう呼ぶ人は初めてなんですがー」
疾風と風は、呆気に取られている。
……いや、私自身も少々、驚いているのだが。
「好きなように、という仰せに従ったまでです。いけませんか?」
そう言って、不敵に笑う桜花。
「ふっ、確かにな。良かろう」
「ありがとうございます」
士武らの事、内心は複雑なのであろうが、桜花は一切表に出そうとせぬ。
頼もしき味方が、また一人増えたな。
そして、数週間後。
士武らが姿を消したとの知らせが入った。
事が露見した上に、山越族に対して睡蓮が牽制の兵を出した事もあり、抵抗の無意味さを悟ったのであろう。
「逃げられてしまいましたか」
「だが、もう連中には何の力もない。後は、地盤を固めるだけだ」
「……ええ。より一層、力を尽くします」
士燮の眼には、新たな決意が宿っているように見えた。
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