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至誠一貫
第一部
第六章 〜交州牧篇〜
八十二 〜交州始末〜
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のだ、愛紗は」
 本当の姉妹のようだな、微笑ましい限りだ。
「華佗。起き上がるまでに如何ほどかかる?」
「そうだな。本人次第だが、床上げまでに一週間、と言ったところか。だが、その後も無理は禁物だぞ」
「華佗殿、そうは参りませぬ。私だけがのうのうと寝て暮らす訳には」
「無理をして倒れれば、より迷惑をかける事になるぞ? 土方だけじゃない、皆にだ」
「……し、しかし……」
「それとも、お前は土方に先立つつもりか?」
「……ぐっ!」
 無念そうに唇を噛む愛紗。
「とにかく、今は身体を治す事に専念するのだな。それまで、俺はこの地に残る事にする」
「愛紗、華佗の申す通りだ。お前の力が必要になる機会はまだまだあるのだ、焦る事はない」
「……わかりました」
 華佗は、漸く表情を緩めた。
「どれ。退屈ならば、碁の相手でもしてやるが?」
「ふふ、面白いですな。お相手しましょう」
 それを見て、私は鈴々を促して部屋を出る。
「お兄ちゃん。鈴々、愛紗の傍にいなくていいのか?」
「お前も、我が軍の将だ。今は何が起こるやも知れぬ、公私は弁えるのだ」
「……うん。わかったのだ」

 その夜。
 疾風(徐晃)と風、それに士燮が揃って顔を見せた。
「歳三殿。先日の件、大凡の真相は掴めました」
「そうか。聞こう」
「はっ。……士燮殿」
 士燮は、重々しく頷いた。
「まず、お詫びを申し上げなければなりません。……この一件、やはり我が一族が絡んでいました」
「具体的には?」
「……はい。我が妹の士武と士壱を初めとする、主立った者はほぼ全てが」
「一つわからぬ事がある。一族の束ねは士燮、お前が行っていたと聞いている。何故、お前がそこに荷担しなかったのだ?」
「……身内の恥を晒すようですが、今更です。実は、私は長女ではありますが、妹達とは母親が違うのです」
「異母妹、という事か。それで?」
「父が存命の間は、特に何事もなかったのですが。私が後を継いでからは、妹らとの間に確執が生じていたのです」
「……ふむ。そうは見えなかったが」
 疾風も頷き、
「失礼ながら、士燮殿の事を調べさせていただいた際にも、全くその事には気づけませんでした」
「そうでしょうね。姉妹喧嘩を表沙汰にすれば、他州や他国からつけ込まれますから。そこは、必死に抑えました」
「では、何故士武らは私に反旗を翻すような真似をしたのだ? お前との仲違いが原因ではあるまい?」
「勿論です。先日まで、程c様らが行った各郡の検分、それが今回の事に繋がっています」
「山吹(糜竺)ちゃんと一緒に各郡を廻ったのですが、風は人や物の出入りについても調べていたのですよー」
「ほう」
「士武さん達から教えていただけなかった事も、いろいろとありまして。そこは、風が独自に調べたのです
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