第3章 リーザス陥落
第73話 ホッホ峡の決戦U
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手で、チューリップを弄びながら、マリアの額に、間近から紅い光を照射する。
「マリア!! 炎の矢!!」
「ふっふ〜ん。ちょーっと遅いね。さ。お友達とお別れしな。今に頭がなくなるから」
「あ、あぐっ……くっ………ぁっ……」
マリアが思い浮かぶのは、先ほどの紅い光線を受けて、内側から爆発し、吹き飛んだ兵士達。そんな魔法を至近距離で、それも頭に受けてしまえばどうなってしまうか、火を見るよりも明らかだった。
拒もうと、必死に身体を動かすが、相手の力も魔法使いとは思えない程、強く強固。
「じゃあね」
光輝く紅い光線を見た瞬間、マリアは眼を瞑った。
「マリアっっ!!」
志津香も駆け出すが、どうしても距離がありすぎる。一番最速で出せる炎の矢も届かないのだから。
――マリアが、死ぬ?
志津香の脳裏にそれが浮かんでしまった。確かに戦場では人が死ぬ。……敵だろうと味方だろうと、それは等しく同じだ。同じ命なのだから。……だけど、ずっと一緒だった親友だったマリアが、死ぬなんて、考えられなかった。……考えたくもない事だった。
「止め……!!」
声にならない声を振るいあげようとしたその時だ。
『煉獄』
「ッ!!!」
とてつもない気配が、紅い魔法使いの全身を覆った。
それと同時に、手に宿る光も解除されてしまう。
「な、なん……! うわっっ!!」
それは本能から察した、危機感。
マリアから、飛び退いた瞬間、場所に何かが通った。
その何かは、そのまま岩肌に直撃し、深い切れ込みを作っていた。
「……危なかった。 散慢だぞ。マリア! 戦場でそれは、命取りだと思え。煙幕だけで安心するな。完全に敵を仕留めるまで、油断するな」
「ぁ、う、うんっ……!」
マリアの上を通過した何かは、……ユーリが放った煉獄。飛ぶ斬撃だ。あの場所にあの女が留まっていれば、真っ二つ、とはいかずとも、大ダメージが見込めただろう。危機回避力も半端ではないと言う事だ。
「無事! マリア!!」
「うん、な、なんとか……。生きた心地しなかったけど……」
「間一髪、だ。危なかった」
敵を視界から決して逸らせず、返事を返す2人。志津香も、ユーリの傍。すぐ横へときた。あの紅い魔法使いも驚いていたようだが。
「っ〜……殺気、か。人間の世界で あんな殺気を受けるなんて、思わなかった」
そう呟くと、直ぐに体制を立て直した。
「ユーリの攻撃を避けた。……と言う事は攻撃は届くって事ね。……アイツは魔人じゃない」
「……だな。が、無関係と言う訳でもなさそうだ。紅色破壊光線か。あれを使える事も考慮して」
人が放つ威圧ではない。気配そのものが違う。あの魔法にしたっ
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