暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Epico42雪も積もれば戦となる
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無駄な戦いをした・・・なんて言えないよな。リンドヴルムは次元世界に迷惑をかけまくっていたし、俺が戦わなければ次元世界に戦乱を招きかねなかった。ただ、ただあの場所にレーゼフェアかフィヨルツェンが居れば・・・絶対に救えていたはず。それだけがもう・・・。溜息が全然止まらない。

「救急箱は・・・っと」

氷水のごとき冷たさの水で傷口を洗って、俺の部屋にある救急箱(もう1つははやての部屋)を取りに戻る。アイリは今もベッドの中でぐっすり夢の中。起こさないように気を付けながら勉強デスクの上の棚に乗る救急箱を降ろし、中から傷薬と絆創膏を取り治療を行った。

「んみゅぅ〜・・・マイスター・・・?」

布団の中からちょことんと頭だけを出したアイリが俺の名を呼んだ。眠気眼だが俺の姿をしっかり視認しているようで、「起こしたか? ごめんな」と謝る。アイリは「だいじょ〜ぶ〜」そう言って布団から出て来た。今のアイリはヴィータと同じくらいの身長のヴァクストゥームフォルムで、動物――ウサギの着ぐるみみたいなパジャマ(アニメの影響らしい)を着ている。

(ルミナ達もアニメやマンガが好きだったよな〜)

アイリもこの1ヵ月、時間さえあればテレビ番組を観て多くの趣味を持ち、知識を蓄え・・・そしてよく寝坊するようになった。観たい深夜番組は録画、録画できない裏番組は徹夜してでも観る。まぁ、何百年とレンアオムに閉じ込められていたんだ。これくらいは大目に見ようというのが八神家の総意だ。

「アイリ。見てみろ、雪が積もって銀世界だぞ」

「えっ、ホント!?」

アイリが窓へと駆け寄ってカーテンを開け、「綺麗(シェーン)?」外を見て目を輝かせた。しかもガラッと窓を開けてそこから出て行こうとするから俺は「ちょっと待て」肩を掴んで制止する。

「???」

「小首を傾げるな。いくら寒さに強くても風邪をひくぞ。あと窓から出るな。それに二度寝しないなら着替えるように」

「はーい!」

パジャマからタートルネックセーターとキュロットパンツとタイツ、お揃いのフリースといった冬服に着替えるアイリ。そして俺はベルカの時と同じように櫛でアイリの髪を梳かし、髪型を整える。この何百年で1人でも出来るようになったそうだが、俺たちと再会し、俺と同室になったことでまたこうして甘えるようになった。

「よし。ほら、いいぞ」

「ありがと、マイスター♪」

トタトタと玄関へと向かうアイリ。俺も新聞紙を取りに行くために続く。靴に履き替えて外に出る。出る言葉はやはり「さむ」だった。アイリは足跡の付いていない綺麗な雪の上をザクザクと歩いている。

「これなら雪合戦やかまくらも作れそうだな〜」

「えっ、なにそれ? 合戦? 火満苦裸? なんかすごそうだね〜♪」


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