暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Epico42雪も積もれば戦となる
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†††Sideルシリオン†††

「さむ・・・」

寒さで目を覚ましてしまった。時刻を確認するために身じろぎしようとしたが「ん・・・ぅむ・・・」布団の中から聞こえてきた声の主のおかげで出来なかった。布団の中を覗き込んでみれば案の定「むにゃむにゃ、マイスター・・・えへへ?」アイリが俺にしがみ付いて寝ていた。

(夏もこうだとちょっと辛いかもな〜)

起こさないように気を付けながらアイリの両腕を俺からそっと離してからベッドから降りる。そしてクローゼットからセーターにスキニーパンツを取り出して着替え、部屋の隅に置いてあるハンガーラックから取ったフリースの袖に腕を通して着る。遅れて壁に掛けられた時計を見て「6時か・・・」時刻を確認した。学校は冬休みに入り、局の仕事も休みだからはやてが起きるのはもっと後だろう。

「しかし本当に寒いな〜」

カーテンを少し開けて窓の外を確認すると外には雪が積もっていた。

「おいおい、初雪にしては降り過ぎじゃないか・・・?」

地方でもないのに5cmくらい積もっていた。通りで寒いわけだ。チラホラと降る雪を眺めていると、「へくちゅっ!」くしゃみが背後から聞こえた。振り向いて見れば、アイリがもそもそと布団の中で動いていた。しかも俺を捜しているのか手が特に動いている。起きているのなら俺を呼ぶだろうし、起きていないうえで俺を捜しているとなると目を覚ますかもしれない。

(ふふ。仕方ないなぁ)

俺はベッドに戻って布団を被り、アイリの手を握る。するとアイリの寝顔は不安そうなものから安心しきった緩みきった表情へと変わった。そしてまた俺にしがみ付いてきた。まさか起きているんじゃ、と思えるほどに流れる動きだった。試しに頬を突いてみると「んみゅぅ・・・」嫌がるどころか破顔した。少しイタズラ心が生まれてプニプニと突き続けていると、ガブッと人差し指を噛まれた。

「〜〜〜〜っ!!」

右手で口を押さえて声が出ないように努める。自業自得の結果だが、これは痛い。しかも歯軋りの要領で上下の前歯をギリギリ動かすからダメージ倍増。なんとかアイリの口を開けさせて指を出す。皮膚が切れて血が滲み出していた。小さく「ごめんな」アイリに謝って、彼女の手を離しながらベッドから出る。向かうは洗面所。まずは傷口を洗おう。

(ラファエルが使えたとしてもこの程度の傷で使うのもなぁ〜)

シュヴァリエル、スマウグとの連戦で魔力炉(システム)を酷使した影響で、今の俺は魔術師どころか魔導師としての能力も失っている。特にスマウグには上級の中でも高威力を叩き出す儀式系術式を連発した。相手がスマウグではなくレーゼフェアやフィヨルツェンなら俺は絶対勝っていた。

「(そう思うと俺はかなり勿体ない魔力を使ったよな〜・・・)はぁ〜〜〜」

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