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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第207話 帰還
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チョは大荒れだろうと思える。
そして、プレイヤー達の名がどんどん下へとながれていき、最終的には回線切断者の名前も表示される。その数は4人。……今回の死銃事件の被害者と言う事になるだろう。
つまり、共犯者が正確に何人いるか判らない状況だ。最低でもゲーム内にいた2人を除いて、2人、いや3人はいるかもしれない。
――いったいVRMMOの中で、どのような集団に属し、どのような経験をすれば、こんな恐ろしい犯罪を企むようになるのか………。
正直、判りたくもない相手の心情を考えていた時に、カウントダウンがゼロになった。
その瞬間に、訪れたのは 形とは言え 優勝したと言う勝利からくる高揚感ではなく、深く、そして冷たい戦慄だった。
それは一瞬の浮遊感覚。それが消えた時にはもう、シノンは誌乃となり、現実世界の自室のベッドにひとり横たわっていた。
――いや、ひとり、とはまだ限らない。すぐに眼を開けちゃダメ。動くのもダメ。
誌乃は、そう自分に言い聞かせた。身動き一つせず、瞼をしっかりと閉じたまま、誌乃はそっと周囲の気配を探った。
耳には、微かにいくつかの音が届いてくる。まずは自分自身の音。呼吸音や早いペースを刻む心臓の鼓動。天井の近くで低く唸っている暖房運転中のエアコンの作動音。これは、大体の終了時刻を考え、やや早いタイミングで起動する様にセットしたモノだ。それと同時に、セットしていた加湿器の音、薄く吐き出されるミストが流れる僅かで、微かな音。
全神経を耳に集中させ、ここまで聞き取る事が出来た事に誌乃は少なからず驚きつつも、安堵をしていた。
《それだけ》だからだ。それ以外の異質な音を立てるものは何も無いのだ。それは、音だけではない。ゆっくりと鼻で呼吸をする。妙な匂いの類も無い。芳香剤の代わりにチェストの上に置いたハーブ石鹸の穏やかな香りだけであり、奇妙な気配と同じく、奇妙な異質な匂いも無かった。
だからこそ、自分以外には誰もいない事を把握したのだ。
「………っ」
誌乃は、ゆっくりと眼を開けた。
まだ、それでも 音で匂いで、五感で感じられない亡霊に似た《何か》がこの部屋にいるかもしれない、と言う恐怖があった。
だけど、不思議な事に 誌乃の手には僅かだが温もりがあったのだ。……それは、とても暖かく、勇気をくれるもの、だった。
『幾らでも握ってやる』
それと同時に、誌乃はあの言葉が頭の中を巡る。
そう、ずっと怖がって、怯えたままでは、前に進めない。
……戦うか、戦わないか。差し出された手を握るか、拒むか。自分はもう 決めた筈だから。
誌乃は 現実世界に戻っても、その精神の強さをシノンから。……皆から貰った強さをこの世界の誌乃の力に変えて、
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