第二十話:拙い反撃
[5/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
鎖骨上を狙うとは……響くような痛みが走っている……っ」
「……シッ!!」
馬鹿正直に当たった個所と痛みを口に出し、制止したロザリンド目掛け俺はへ又もダッシュ。
近づき、ショートレンジでの優勢、打撃の押収を展開できると思った……のだが。
「おっと! そう何度も喰らわないよ!」
「……チッ」
大袈裟なバックステップで距離を取られた。
【A.N.G】の脚力を存分に生かした、大きなアーチの軌道を描いて跳び、軽やかな音を立て着地する。
……流石にあそこまでボコられたなら、とっさの対処策ぐらいは行使するよな。
「ふむ……先の【漆黒爆弾】はひやりとしたが、よく見れば殺戮の天使はまだ戦える状態ではないね?」
「……く……バレ、た……はぁ……はぁ……」
それは俺にも分かっていた。
【皇帝の紅薔薇園】で打撃技に締め技、更には窒息寸前まで追い詰められていたマリスは、やはり体力を尋常ではない量消耗しており、【鋼糸鏖陣】すら使えない状態。
恐らくはあの薔薇達にも微弱ながら何らかの特殊効果があると見える。
「……はぁ……はぁ……」
でなけりゃあ、あそこまで消耗などしないだろうからな。
そして【ミカエルの剣】に対抗した飛翔速度の遅い爆弾も、なけなしの力を振り絞って放たれた代物。これ以上の援護は、恐らく期待できない。
だが……俺の拳は通じるんだ。
なら幾つも叩き込んでやれば―――
「中々のコンビネーション、感嘆した! しかし! まだボクの攻撃は終わらないぞ、麟斗君!」
―――いや……まて?
何か、可笑しくないか……?
「―――“我が宝剣、力に満ちよ―――”」
腹に、顔に、時には骨に、しこたま打撃を叩きこんだんだ。
そして痛がっている様子も見受けられたし、何よりこの場はまず演技等しなくても良い状況。
ロザリンドは途中までサンドバッグ状態で、碌な受け身も緩和方法も取れず、全部の打撃を “諸” に喰らっていた筈……。
なら……何故……?
「“宿せ颶風……!”」
そもそもアイツは何故腹に食らっても『蹲まらず』、鼻骨に勢いよく食らったりして尚『鼻血一滴』も流していない……?
「我が右手に【烈風の剣】!!」
「! くそっ!」
―――何故あいつは『ダメージが無いかのように』ピンピンしてやがる……っ!?
「う……ぐおおぉっ!?」
「……り、麟斗……!」
直撃は避けたものの、爆風の影響で着地に失敗し、右肩口から派手に転がった。
感情の困ったマリスの声が、幾度も近寄り遠ざかりを繰り返しながら
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ