第28話 転生・坂本龍馬
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う一人の坂本龍馬が生まれ出てきたのだった。
前の坂本龍馬であった物体は脱皮後のように脱ぎ捨てられたように転がっている。
「お帰りなさいませ。坂本龍馬殿」
宣教師の姿の男が片膝をつき龍馬に挨拶した。
「おまんがわしを?」
まだ産まれたままの全裸であった龍馬はその男をみつめた。
「天草四朗時貞といいます。我が秘術にて貴方様を転生させた次第」
四朗は立ち上がり龍馬をみつめた。
「そうか。。。。。。」
龍馬は一言いうと着物を羽織り出した。そして、目を見開いている中岡の元へと近づいていった。
「すまんのぉー、慎太、わしゃ、生き返ってしまったぜよ」
龍馬の目がなぜか悲しげに見えた。
「では、坂本様。我らの主の元へ参りましょう」
四朗はニコリと微笑んで言った。
「主?」
「はい、あなた様がよく知っている方です」
「あぁー、武市さかぁー」
龍馬は天井を見つめて言った。
「わしゃ、いかんぜよ」
「今、なんと申しました?」
四朗は笑顔を崩さず、首を一つ傾けた。
「わしゃ、いかんとゆうたんじゃ」
龍馬は四朗を見つめた。
「何を馬鹿な!!そんな勝手は許されませんぞ!!」
四朗の顔から笑顔が消え怒りの表情で龍馬を見つめた。その時、銃声が一つ聞こえた。と、思うと、四朗の頬から一筋血が流れた。
「これはのぉー、おまんがわしを三途の川から救い出したときに拾った銃じゃ。わしもすでに化けものじゃが、おまんら、化け物を吹っ飛ばせる。地獄に帰りたくなかったら、そこを退け」
龍馬は銃を構えて出口へとゆっくり歩き出した。それと同時に一気に走りだしたのだった。
「おのれ、坂本!!」
四朗の怒声が響いた。
「天草四朗、武市さにいうとけ、また、いずれ、逢おうと」
龍馬の笑い声が遠のいていった。
(龍馬、おまんは何をするつもりぜよ)
慎太郎は意識を失った。
しんと静まりかえった部屋には屈辱と怒りに震えた天草四朗だけが残っていた。
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