暁 〜小説投稿サイト〜
リリなのinボクらの太陽サーガ
紅蓮
[8/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
印するには月詠幻歌が必須……そして先程言語を吸収させて一時的に歌えなくしました。普通なら言語を取り戻させないように私達の邪魔をしてくるのに、それをしてこなかったという事は、どこかで別の対策を行っていた可能性があります。今まで月詠幻歌を封じるために、ラタトスクは歌を継承していた星を破壊し、歌詞を葬り、言語を奪ってきました。それらの妨害を奇跡的に生き延びた歌い手がシャロンで…………ハッ!?」

まさか、と言いたげにシュテルの眼が大きく見開かれる。彼女が口にせずとも、俺達も彼女が行き付いた答えに思い当たった。ファーヴニルを封印できる月詠幻歌が歌えるのは、月下美人に昇華したシャロンのみ。そして言語を取り戻しても彼女の歌が聞こえてこない、という事実から導き出されるのは……!

「俺達がファーヴニルの角に目を向けている内にラタトスクは……歌い手のシャロンを襲撃していたのか!」

そうとわかれば急ぎ彼女達の安否を確認しに行かなくてはならない。ファーヴニルはまだ吸収した言語を放出し続けていてしばらく動きそうに無いため、ユーリにここを任せて皆を守ってくれるように告げてから、俺は即座に暗黒転移で地下シェルターの傍にある建物の屋上へ向かう。到着するなり早速、俺はマキナが最初に潜伏していたはずの展望台がへし折れて、シェルターの入り口を塞いでいるのが視界に入ったが、どうやらマキナとティーダが入り口の瓦礫を排除したらしく、一人ずつなら何とか通れる通路が開いていた。

しかしそれはもういい。問題はシェルターの入り口がある広場で、マキナが何度も鞭でぶたれて血だらけの状態で膝をつく姿を見つけた事だ。彼女の正面には鞭を構えるラタトスク、後ろではマキナが傷つく姿を目の当たりにして涙を流しながらも、更に背後にいる者達を守ろうと身構えるシャロンと、まだ“退行”から回復しきっていないティーダと先に回復したティアナ、怯えるスバルを守るように抱くギンガの姿があった。

「いい加減しつこいですねぇ、そろそろ降参したらいかがです?」

『ケハッ……! ハァ……ハァ……私が降参なんてする訳ないのは、もうわかってるんでしょ……! 向こうではサバタ様や皆が諦めずに戦って角を破壊し、ついに言語を……希望を取り戻した。そして私の後ろには絶対に守りたい人が……希望を形にする仲間がいる! ラタトスク……あなたが相手だからこそ、私はまだ……くたばる訳にはいかないんだ!』

「チッ……あなたには何故かチャクラムのしびれ薬が効きませんし、わたくしの想定を上回る実に厄介な相手です。まるであの時の小生意気な少年(トリニティ)のようだ……!」

『生憎この身体は11年前から薬漬けにされてたからね、大抵の薬物に耐性と免疫が出来てる。麻酔や毒素、麻痺薬といった劇物は私には利かないよ!』

「やれやれ…
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ