ターンEX−5 真紅の竜と『真紅の』竜
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これは、遊野清明が斎王とそれを操る破滅の光を打ち破り、レーザー衛星『ソーラ』が遥か上空で静かに爆発した……その、少し前の話。誰も知らない、異邦人たちの戦いの話。
「さて、と。この封印も、そろそろ焼き切れるかな?」
三幻魔の封印された祠の近くで、適当な岩に腰を下ろしてそう満足げに1人ごちる人影……遊。1度様子を見に行こうかと立ち上がったところで、ふと森の一点を注視した。野生動物とは違う、れっきとした人間の足音を聞き分けて意味深な笑みを浮かべる。
「ふーん、へー、ほ〜。なーんだ、結局邪魔しにくるんだ。いいよー、こっちの方はどうせ暇だったし」
怒り心頭といった様子でそこに立つのは、転生者狩りの富野。これまでにも散々煮え湯を飲まされた相手に対しても、その目の闘志はいささかも薄らいでいない。
「うるせえ!どうやって生き返ったかは知らねえがな、いったんやられた奴が2回も3回も出てくんじゃねえよ」
「自分だって散々やられたくせに、よく言うよ。それで、もう1人の方はどうしたのかな?」
もう1人、とはそこにいるはずなのに姿の見えない相手、つまりユーノのことだ。まだユーノの洗脳が解けたことは知らないはずだと内心踏んでいたが、どうやら遊の様子を見て一発で何が起きていたのかの察しがついたらしい。その勘の良さに内心舌を巻きながら、それでも表向きは平然とした様子で吐き捨てる。
「知るかよ。お前がわかっときゃいいのはただ1つ、今から俺に叩きのめされるってだけだ」
「ふうん?言うようになったねえ、負け犬クンが」
実際、遊の言葉はあながち妄言でもない。彼と富野の実力差は明白であり、例え新たに手に入れたスカーライトの力をもってしてもその差を覆すことができるかどうかはかなり分の悪い賭けだ。しかし、それでもやらねばならないのだ。それだけの理由も、覚悟もある。
「言ってやがれ……」
2人の間の緊張が徐々に高まり、空気が次第に張りつめていく。そのときたまたま、アカデミア上空を飛んでいたカラスがしわがれた声で鳴いた。その音がきっかけになったかのように、2人して同時にデュエルディスクを構える。
「「デュエル!」」
先攻を取ったのは、遊。
「僕のターンはー、これかな?幻影王 ハイド・ライド!」
ぼろぼろの幽鬼のような馬に乗ったこれまたぼろぼろの騎士……チューナーモンスターでありながら他のチューナーとシンクロを行えるという、まさに幻影の王にふさわしい効果を持つカードだ。
幻影王 ハイド・ライド 攻1500
「ターンエンドー」
「俺のターン、ダーク・リゾネーターを守備表示で召喚!さらにカードをセットして、ターンエンドだ」
音叉を持った小柄な悪魔が、富野のフィールドに現れる。
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