第二部
第三章 〜群雄割拠〜
百十 〜陳留にて〜
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はないか」
「死ななければいいのよ。ハッ!」
残った一人は、華琳の一撃を何とか受け止めた。
多少は心得があるようだが、無駄な足掻きか。
「え、えい!」
「ぐはっ!」
と、男がくたくたと倒れた。
荀攸に肩車をされた雛里が、持っていた本で殴りつけたようだ。
「あら、意外な伏兵が居たのね」
「そのようだな」
私と華琳は顔を見合わせ、フッと笑みを浮かべた。
「引っ立てい!」
駆けつけてきた警備兵が、暴漢共を連れて行く。
「奴らはどうするのだ?」
「そうね。供述次第だけど、死罪はあり得るわ。庶人を騒がせた罪、軽くないもの」
妥当なところか。
「しかし、治安は万全とは行かぬようだな」
「ええ。警備兵は置いているのだけれど、人が増えればどうしても手が回らないのよ」
「土方様。何か良き方策などありませんでしょうか」
華琳と荀攸は、難しい顔つきでそう言った。
治安維持の妙手か。
新撰組のように隊を組んで巡邏に回るという手もある。
が、あれは恐らく成功すまい。
あの組織は、近藤さんがいて試衛館という場があればこそ立ち上げから形にする事が出来た。
奇跡とも言える顔触れ、そう容易くは見つかるまい。
それに、あれだけの厳格な掟が果たして守りきれるであろうか。
恐らく、如何に華琳とは申せ無理であろう。
「雛里。何ぞ智恵はあるか?」
「あ、あわわ……。咄嗟には思いつくものは……」
いくら鳳雛でも出来ぬものは出来ぬ、そういう事だな。
今のところ華琳と対立する要素もなく、手を貸すのは吝かではない。
それに、庶人が苦しむのを見逃すのも些か寝覚めが悪い。
ふむ……。
「華琳様。も、申し訳ありません!」
楽進が、息を切らせて駆けつけてきた。
「凪。警備兵の動きが遅かったようだけど」
「は、はい。盛り場で酔っ払い同士の大乱闘がありまして。なかなか収束しませんので、そちらに……」
「なるほど。理由はわかったわ、でも此方も一歩間違えば大事になるところだったのは事実よ」
「……返す言葉もありません」
項垂れる楽進。
その姿を見て、ふと思い出した。
「華琳」
「何かしら?」
「妙手かどうかはわからぬが、番屋を設けてはどうか?」
「番屋?」
「そうだ。町の辻にある程度の間隔を設け、自身番を常駐させる。何かあればそこから出動すれば対応も迅速に出来るであろう」
「確かにそうかも知れないけど。そうなると、その番屋の数だけ兵を増やす必要があるわ。費用的にも戦力的にも効率的と言えるかしら?」
「費えはいろいろなやり方があろう。人は町から出させれば兵を割かずに済む」
華琳は少し考えてから、楽進の方を
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