第六十七話
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ほえむ。
いい年こいたおっさんがその笑顔に思わず顔を赤らめる。
お前こそロリコンじゃないのか? そう思ったが声には出さない。
「お名前はなんて言うの」
「マリオン。マリオン・アドミラル」
「そう、マリオンちゃんか。おうちの電話番号はわかるかな? 」
「うん。……パパの携帯番号なら、わかるよ」
そう言って、王女は電話番号を告げる。
「マリオンちゃん、日本語すごく上手だね。うんうん。いまお父さんに連絡してあげるからね。で、迎えに来てもらう」
警官はポケットから携帯電話を取り出すと、入力を開始した。
辺りに着信音が鳴り響く。
警官は一瞬びくっと身を縮めた。
俺は電話を取っていいか警官に訴える。
「仕方ないな、いいだろう」
では、ということで俺は電話を取った。
ディスプレイには見たこともない電話番号が表示されている。しかし、言った手前、この電話を無視したら、怪しまれるよな。取らないわけにもいかないよ。
「もしもし」
と俺。
同時に警官の相手方も出たようだ。
「あー夜分遅くに申し訳ありません。マリオンさんのお父様でしょうか? こちら第一公園前交番の田中と申します。実は……」
と一気に捲し上げるように喋る。
俺の電話はどうだというと、混戦でもしているんだろうかいまいち電波が聞き取りにくい。この電話のキャリアは外資系企業で、基地局の設置をケチってるせいか受信状態の悪さでは他の携帯キャリアと雲泥の差とよく言われている。でもどういうわけかうちの学校で採用されている。おそらく政治的な理由か、コネかなんかがあるんだろう。結構うちの学校がらみはそういったある国の企業がらみの利権が蠢いているように思える。一度頭のおかしい政党が連立とはいえ政権に紛れ込んだせいだろうといわれている。一度張ってしまった根は、なかなか根絶できないんだよね。
それはともかく、原因は通信回線ではなく、隣で田中が電話しているせいだろうと思うことにした。それでも彼の声が携帯から聞こえてくるよなのはなんだろうね。
「もしもし、ちょっと聞き取りにくいのでもう少し大きい声でお願いします」
俺は携帯を当てた反対側の耳を押さえながら話す。
「あーすみません。聞こえにくかったですかぁ? こちらぁ〜警察のものです」
なぜか田中が反応する。
「いや、お巡りさんじゃなくて、電話をかけてきた人に言ってるんです。ちょっと聞きにくいんで離れていいですか? 」
「はあ? 何でお前が俺の電話で話しかけてくるんだ? 」
警官は不可思議そうな顔で俺を見る。
そして、その声は俺の携帯からも聞こえてくるんだよね。
俺は大きくため息をついた。
ディスプレイの表示された画面をみて、
「お巡りさん
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