第六十七話
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く仲良くなっているのに嫌われてしまうかもしれない。そんなマイナス思考のせいで自分の感情を抑え込み、見て見ぬふりで生きてきた俺。
そんな俺が一番嫌いだった。
そして、俺は力を手に入れた。
電車で騒ぐ連中も、弱い物いじめをする奴らも、徒党を組んで暴れる連中も、何もかもまとめて相手にしてもおつりがくるくらい強くなった俺。その気になれば、ものの数分でそいつらを皆殺しに出来るほどの圧倒的力だ。
いつかこいつらに復讐してやる、正義を教えてやるってずっと思っていたのに、その力を手に入れたら、逆になんだか怖くなった。
本気で怖くなったんだ。
漆多をいじめ抜いていた蛭町とその部活の連中を半殺しにしたとき、確かに爽快な気分だった。弱気を助け、強くをくじくというヒーローそのものだった。
ずっと憧れていた力だったのに。
でも、その力のせいで逆に親友を失うことになった。
圧倒的な力でその逆境を救った人間が、少し前まで自分と変わらないレベルの奴だったとしたら、彼はそいつに感謝できるだろうか? そいつの前で自分は醜態を見せていたという現実に耐えきれるだろうか? そして、その一番格好悪いところを見られているのに、心から感謝できるだろうか?
そして親友は感謝してくれなかった。むしろ憎まれ疎まれた。
善かれと思ったことが、所詮は自分本位でしかなかったってことを思い知らされたんだ。
みんなに感謝されるはずの力が、みんなに尊敬されるはずの行為が理解されない。
親友の漆多にも。
そして力を用いた行動は、やがて俺の中に別の誰かの侵入を許すことになり、俺を暴走させてしまう。
得体の知れない、でもなんだか懐かしい存在。
それが俺を乗っ取り、圧倒的な力で暴虐非道を繰り返す様。あの時の高揚感と拳に残る破壊の感触。いつか取って代わられてしまうかもしれないという予感めいた恐怖がその力にブレーキをかけるんだ。
そしてこの現実、相手が悪党なら、それでもこの拘束を断ち切り反撃するんだろうけど。
「どうしますか、田中さん? こいつを」
「そうだな。とりあえずは交番に戻らないといけないだろう。この変態野郎はともかく、女の子は親御さんが心配しているだろうからな。しかし、持ち場を離れるのは少しまずいな。応援を求めるしかないだろうな」
「ですね」
そう言って、若い方の警官が無線機に手をかけた。
「お嬢ちゃん、とりあえずこの変態は留置所にぶち込んで出られなくするから安心してね。で、君のおうちへ連絡しないといけないんだけど、電話番号を教えてくれるかな。親御さんが心配していると思うからね」
あり得ないくらい優しい声色で田中が話しかける。
「うん、ありがとうお巡りさん」
涙を拭くふりをしながら、王女がにっこりとほ
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