第六十五話
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を思い出していた。
「そうか、お前もやられていたのか。つまりお前も弱いと判断されていたのね。それにしても反撃はしなかったのか、情けない男ね」
哀れみの表情で俺をみる。何かすごく容赦無い。
「俺は成績も良くないし、運動も駄目だからね。おまけに友達も少ないから、社会的少数派に属してるんだ。だから先生の言うことに反論しても信憑性が少ないからただ俺が喚いているだけにしか見えないんだ。やればやるほど俺が悪者になってしまうから、仕方なく我慢してたんだよ」
なんか惨めな気分。
「シュウよ、あのね、この際だからちゃんと言っておくわ」
「う、うん? なんだい」
王女の言葉に俺は彼女を見る。
「前にも言ったかもしれないけど、お前は私と契約したことで一つの回路で接続されている。だから、お前が何を考えているかもわかるし、お前の記憶……体験したことやその時思ったこともお前以上にわかってしまうのよ。だから……」
「だ、だから何だよ」
彼女が何を言おうとしているのか、なんとなくわかって少し動揺する。
「お前が反撃しないのは単に、その戸次という教員が剣道と合気道の有段者でおまけに身長180センチ超の巨漢ってことが原因でしょ? 」
うわ。まじで読まれてしまってるんだ……。俺は動揺してしまった。情けないな。
「う、うん。参りました。姫の言うとおりです。怖くて何もできませんでした。できるだけ先生に見つからないようにコソコソ隠れていました。それは事実です。他に先生に酷くいびられていた奴がいても見て見ぬふりをしていました。……姫に嘘をついたりするし、俺はずるい男です。ごめんなさい」
「やれやれ。そこまで卑屈にならなくていいわ、情けない」
呆れたように俺を見る。
「でも、実際そうだったんだよ。俺みたいな力無い者は、力ある者を恐れ、その脅威から何とか一日を生き延びなければならないんだ。だから犠牲者が自分以外になったら、そいつを可哀想だとは思うけど、一歩間違えたらそれは自分になっていたかもしれないんだ。だから内心はホッとしてたんだよ。情けない話だけれど。いじめなんてどこにでもあるけれど、いじめる者といじめられる者の境界線にいる連中は毎日が薄氷を踏むような思いなんだ……。姫にはわからないだろうけど。そんな情けない生活を送っているとどうしてもこんな捻くれた奴になってしまうんだよ……」
惨めな自分、情けない自分、弱い自分。それが俺の本性なんだから、仕方ない。いつからこんな風になっちゃったんだろうな。
「卑屈なお前の人生など興味ないけど、弱い者の気持ちは理解できるわ。生き延びることが生物の本能だわ。だからそういう生き方になるのは仕方が無いのかもしれない。……それはいいわ。話を戻して」
あくまでも冷静だな
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