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乱世の確率事象改変
紗を裂く決別の詠
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もしれない。そんなモノは甘い認識だと教えられた。真名の返還という異端な出来事にさえ興味が無いと、その表情が伝えていた。

 視線が合った。
 瞳の中に嘗ての思いやりは無い。
 黒を覗いた。
 自分達に向けられていた信頼もやはり無かった。
 ビシリと痛む胸を抑えて、愛紗は泣きそうな表情に変わる。

 追い打ちを掛けるように、引き裂かれた彼の口から、彼女にとっては受け入れたくない言の葉が綴られた。

「さて……過去の話はもういいだろ? さっきの門番には旧知の親睦をとか言っちまったが……俺達は慣れ合いに来たわけじゃないんだ。
 傍若無人な使者を追い返すのか、それとも俺達と“話し合い”をする勇気があるのか……そちらの御意向や如何に、“関羽殿”?」

 一陣、寂しい風が吹き抜ける。
 心に吹き荒れたその風は、冷たい喪失感を愛紗の心に運び込んだ。



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