第二章 【Nameless Immortal】
弐 見えぬ分水嶺
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何度も怪我をした。骨も折れた。暫く痣が残ったこともある。
錬金鋼が握れないほど手が駄目になったこともある。服を脱げば消えない傷跡が幾つも残っているだろう。
それでも終われば包帯を巻き、薬を塗ってくれた。
武芸者としての在り方を優先させてくれてから、家事を無理にさせられることもなかった。
家族なのだから助け合えばいい。だから、今は気にするな。いつか返してくれればいい。
そう言われたけれど、それに甘えたくなかった。だから、必死に錬金鋼を握った。
お金を稼がないといけない。稼いで、家族を助けないといけない。
日々食べ物が減り、苦しくなっていくのを見てそう思った。
愛情を向けてくれて、大事にしてくれた。
それはきっと、家族だったからだろう。無条件での信頼がそこにはあったのだと思う。
それが嬉しかった。だから自分も家族を大事にしたいと思った。いつか家族ができたら自分もそうしようと。
だから、それを大事にしたいと思った。
ずっと思っていた。
それに疑問を持つ日が来るなんて。
ずっと、思ってなんかいなかった。
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