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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第十二話(上) 列島騒乱
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その為、苦渋の決断ではあるが人質の解放が行われるまで我々は一切動かない」
この発言を聞き、エリカが反駁する。
「お待ちください。一切動かないと仰せになられましたが、今国会で自衛隊介入についての話し合いが行われているという話は聞き及んでいますわよね? 今は世論の同調などで介入しない意見が多勢を占めているようですがあまり長期的にこれを行えば変わる可能性があるのでは……」
「こちらとしても自衛隊の介入は意地でも行わせないつもりだ。共同作戦を提案されても突っぱねるつもりでいる。ポケモンに関する一切かっさいは我々に任せるというのが国の指針であり、リーグ法にも明記されている。それを根底から否定するような真似はポケモンリーグとしても私自身としても絶対に許さない。でも確かにエリカ君の言うとおり、あまりに長引けばそうもいかなくなるだろう。だけれど、私としてはこれは短期決戦で終わらせたいと」
ワタルが言い終わる前にエリカが尋ねる。
「では、その具体的なプランはできているのですか? 出来ているのならば今この場で私たちの前で発表してください」
「勿論できている。では、話そう」
まず、ロケット団との休戦協定をひたすら一日ずつ引き延ばす代わりに1万〜2万人ずつの解放を要求する。
5日間で人質の全解放を実現し、今から6日後にエンジュの外におびき寄せて前日のような戦いを行う。
敵が消耗しきったところでエンジュに突入し、少ない損害でロケット団を屈服させるという計画だった。
「なるほど……しかし敵があくまでエンジュでの籠城を行った場合はどうするのです?」
「いや、ここはマツバ君に協力してもらうつもりだ。マツバ君の持つゴーストタイプは幻術に優れており、敵をおびき寄せる程度の術は心得ているだろう。それを利用して我々は一気に叩くんだ」
「もしマツバさんが解放されない場合は……?」
「それはないさ。敵は一日も多く時間を欲しがっている。何故ならこの国を征服する為に一匹でも多くの戦力を手にしたいだろうからね……」
その後、諸連絡事項を話して会議は終わった。
―――――――
ワタルの作戦は非常に上手く行った。
5月4日までにすべての人質の解放が決定され、5日には全員が実際に解放された。
但し、マツバの引き渡しだけは頑として認めず5日の夕方の壇上会議までこの件は持ち越される。
ちなみに5月2日以降の会談は全て机上で行われている。
―5月5日 午後5時 42番道路 エンジュシティ側ゲート―
「理事長さん。それだけは認められません。マツバの解放だけは絶対に承服するなとサカキ様より命が下っているのです」
アポロは申し訳なさそうな様子で答える。
「我々からすればマツバ君はかけがえのない大事な人材なん
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