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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第十二話(上) 列島騒乱
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ワタルは遂にここまでたどりついた。
伏魔殿のあるエンジュシティを目の前にして、ワタルは一人正座してじっと動かない人物を目にする。
ワタルは直感で只者ではないことを見抜き、カイリューから降りてその人物に話しかけた。
「君、こんなところで何をしているんだ」
話しかけると、青年はふっと笑って
「貴方が理事長のワタルさんですね……。初めまして、ロケット団最高幹部兼西方攻略軍司令官のアポロです。どうぞ宜しく」
アポロは礼儀正しく礼をした後に、手を差し出すが、ワタルによってそれは大きく弾かれる。
「おやおや……これは手厳しい」
「当然だろう。君たちのせいで……一体どれだけの人やポケモンが苦しんでいるのか分かっているのか!」
ワタルは眦を決して真っ赤になって叱りつけるが、アポロは表情一つ変えずに答える。
「何を言うんですか……そんな道徳論をふっかけたところで心が動くほど、我々はピュアではないのですよ。理事長さん」
アポロはさっぱりとした笑顔でそう返す。
「はぁ……忌々しい……。それで、最高幹部が一体何の用なんだ。交渉役は確かランスという男だったはずだけど?」
「ランスは今、羅城門周辺で未だ貴方がたの手下と戦っている所でしょう……。まぁ、そうでなくても貴方たちの強さを目の当たりにして、そろそろ私が直々に出なければまずいと思っていたところです」
ランスの発言にワタルを眉をしかめて
「何だと?」
と尋ねる。
「ハッキリ申し上げて私たちはリーグの強さを少々甘く見ていましたよ。私の戦った第三軍もそうですが皆さん一人一人が優秀で結束力がある。我々の用いている改造ポケモンも相当な強さを持っていますが、それでも相当に苦戦致しました。そこで私は思ったんです。ここはリーグと腹を割って話せなければならないと。サカキ様が出るのが一番良いのでしょうが、あの方は大将として奥に座っているのが性に合うお方です。その為サカキ様に次いで不肖ナンバー2を務める私めが……」
「長い。結局お前は何が言いたいんだ」
ワタルは苛々しながら尋ねる。
「せっかちなお方だ。では、単刀直入に申しあげましょう。我々と取引を致しませんか?」
「そんなものする余地は無い。我々はこのままエンジュに突入し、君含めロケット団を一網打尽にする。ただそれだけだ」
ワタルは冷淡にそう返した。
「それが無理だということは貴方自身一番よく分かっているはずですよ? 理事長さん」
ワタルは図星とばかりに面食らった表情をする。
第一軍どころか全軍あわせてポケモンが元気なのはワタルとイブキ、そして早期に回復したナツメの三名である。
他は疲労困憊でありとても出撃できるような状況ではないのだ。
そしてなに
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