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伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚
第十二話(上) 列島騒乱
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た。
 氾濫発覚後ラムダは本陣を後ろに移していたが頑として戦闘継続を主張し続けている。

「ラムダ様。もういけませんや……。撤退命令をお出し下さい、これ以上戦う事は不可能です」

 隊長の一人が顔面蒼白になりつつそう進言した。

「ふ、ふ、ふ、ふざけるな! さ、散々援護をもらっておいて挙句負けましただなんてサカキ様の前で言えるわけねえだろうが! お、俺は絶対にここを退かねえぞ!」

 ラムダは言葉だけは威勢がいいが、その実大いに震えていた。
 戦いに負けると言う事よりも後を非常に恐れているようだ。

「大変だー! カイリューが、カイリューが来るぞおお!!」

 その言葉を聞き、ラムダが立ち上がる。
 見ると、遥か遠くではあるが肉眼ではっきり分かる程度にカイリューを先頭にガブリアスやボーマンダなど最強クラスのドラゴンポケモンが騎虎の勢いで本陣に迫っていた。
 言うまでもなくワタルとイブキのポケモンである。

「ハハハハハ……ハ」

 ラムダは膝を折って地に伏した。流石の強情もここで尽きたようだ。
 緊張の糸が切れたのか、ズボンの股が一気に濡れていき、アンモニア臭があたりに漂う。

「う、うわああラムダ様が! ラムダ様が!」

 司令官のこれ以上ない失態に本陣は右往左往の大騒ぎになった。

「鎮まりなさい!」

 数分ほどすると、すべてを刺すような鋭い声が陣中に響き渡った。
 どうやら本部長にして西方戦線司令官のアポロが到着したようだ。

「全く、ゲートの向こうが騒がしいと思ったらこれは何事ですか! サカキ様の僕たるもの、常に堂々としてなければならないといつも言っているでしょうが!」

 アポロはそう団員たちを叱りつける、すると、団員たちは申し訳ありませんでしたと大声で謝りつつ片膝ついて地に伏せた。

「あの……アポロ様、ラムダ様はどういたしましょう……?」

 団員の一人が失神したラムダの両肩を抱えながら尋ねる。

「この者は我が団の恥さらしです。大学地下の折檻室にでも放り込んでおきなさい」

 アポロは冷たい声でそう言い放った。

「は、ははっ」

 団員はそういうとエンジュ側のゲートに消えていく。
 しかし幹部の制裁は後に回すとしても現況に代わりはない。

「それにしてもこれは困りましたね……。あとは私がなんとかしましょう。皆さんは余ったポケモンを戻して下がっていなさい」
「し……しかし!」
「私の命が聞けないと……?」

 アポロは団員を冷たい視線で見下ろす。
 何者をも貫く冷眼は団員を震えさせ、

「わ……分かりました」

 と有無を言わさず下がらせた。

―午後5時 エンジュ側ゲート付近―

 あたりが茜色に染まりつつあった時、
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